63崇城大学教員の継続的な研究支援を受けた生徒が対象で、当然専願であり、選抜は活動実績報告書による書類審査と、研究成果のプレゼンテーション・その内容に関連した口頭試問を課す2段階選抜の総合判定。二次選考では文部科学省が示す探究サイクルの各段階、即ち「課題の設定」「情報の収集」「整理・分析」「まとめ・表現」の4段階について、自分なりに軸足を決めてプロセス設計できているか、探究してきたか、その精度を評価する。こうした選抜を経て、自分なりの研究テーマを持って入学した学生は、冒頭に述べた趣旨に照らし、大学でもその研究を継続できるよう支援教員の研究室に配属し、学部学科との学びとは別に研究を継続することができる。大学のリソースで高校の研究を支援することで継続的な看板研究に寄与する仕組みとも言える。一方アピール選抜は、接続事業以外で、自らの探究活動や課題研究に注力した経験や成果をアピールするための選抜で、併願可である。探究活動を応援する立場にバリエーションの幅を持たせた形だ。こうした入試で入学する学生は、「明らかに今までとは違う層」だという。「やはり、自ら探究してきた経験と成果を持つ時点で、自らの学びに自信を持ち、主体的に大学4年間をデザインしようとしている学生が多い」と山本氏は説明する。受験時の学力で勝負したい人もいれば、大学に入ってから伸ばせるポテンシャルで勝負したい人もいる。こうした「進路選択の多様化」に対応し、機会を提供していくことが募集においても大切であり、同時に目的意識がある学生が増えるように入試を設計することで、偏差値ではない大学選びの支援ができるのではないかという狙いもある。(文/鹿島 梓)図 高校の課題に対する大学のアプローチ1.研究の質向上2.科学的資質能力の向上3.新教育課程施行①全国・世界レベルの研究成果②看板研究の育成①資質能力の追跡②エビデンスの獲得①探究活動の全校展開②探究的な学び高 校大学教員による研究支援高校へのフィードバック大学での学びと成長を可視化=連携協定の締結高校教育の探究型指導力向上専門分野からの探究支援大 学本事業を展開するに当たり崇城大学が大事にしているのは、「大学教員側に寄せるのではなく、あくまで高校生に歩み寄り、高校生の発想を大切にすること」であるという。同大学は「学生一人ひとりを大切に育てる教育」をその中軸に置き、広報キャッチではそれを「心のやる気に火をつける」と言い換えている。従前より学長リーダーシップのもと、学生の主体性を引き出すためのLMSやチューター制度といった仕組みを整備してきた。それは、学生が卒業後社会で活躍し続けられる資質・能力を身につけることを教育の目的としてきたからである。そうした経緯からして、本事業においても大学教員のテーマに高校生が集うのではなく、あくまで主軸は高校生自身の「問い」と置き、KSC加盟高校の研究支援依頼と大学として支援できるテーマリストを大学の地域共創センターがすり合わせ、マッチングしている。目標は理数系ハイレベル人材の育成プロセス研究を高大連携で進め、研究成果をパイロットモデルとして全国に普及すること。SSHの看板研究化も見据え、高校での探究・研究を大学で続けていくことができる枠を作ったとも言える。「高校から大学に来て、高校側の課題感を持ったまま大学を見たときに、大学のリソースがあれば高校側の課題解決が進むと思った」と山本氏は回顧する。まずは、高校教育の現状理解と、その結果本学にどのような影響があるのかという考察から。崇城大学の事例から学ぶべきことは多い。接続の起点は高校生が持つ「問い」
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