50島根県内の就職定着を図るため、4つのステップで施策を展開している。ステップ1は高校生に向けて県内の大学・高専の認知を高め、ステップ2、3、4で島根県内の企業を知る機会をいくつも設けている。就職活動時だけでなく、早い段階から地域社会との接点を作ることで定着率向上を目指す。大学側は1年生、2年生のときから授業の一環として学生を「しまね大交流会」に参加してもらっている。その目的を松崎氏は以下のように語る。「就職活動が始まってから企業訪問をする時点で企業を知ろうとしてもタイミング的には遅い。もっと早い段階から島根県の企業を知ってもらうためにも授業の一環に組み込んでいます。最初のうちは学生も若干やらされている感があるかもしれません。ですが、今の若者はちょっと背中を押されるぐらいでないと自分から動かないところもあります。これがきっかけになってそのあとの企業プロジェクトに参加したり、企業のバスツアーに参加してみようという学生も少なくありません。そのためにもしまね大交流会のように広く企業を知る機会は効果的だと考えています」また、こうしたイベントや施策は、学生のためだけでなく企業の成長につなげていきたいという目論見もあると松崎氏は語る。「若い人達がどのようなことに関心を持ち、企業の何を県内高等教育機関卒業生の県内就職率39.4%平成30年度令和6年度目標値現況値137社200社440人500人企業を選択するインターンシップ等受入企業研修会への参加企業県内事業所へのインターンシップ参加学生関心の高い企業を深く知る企業等と連携した教育プログラムへの参加学生数企業等と連携した教育プログラムへの参加企業数島根の企業を広く知る企業見学ツアー及び交流会の参加学生県内大学を知る「しまねで活躍したい若者」を増やし持続可能な地域づくりを実現68リクルート カレッジマネジメント237 │ Jul. - Sep. 2023評価するのか、生の声を聞くことで各社も時代にキャッチアップしてほしい。また、島根県の企業は自社の魅力を十分に伝えられていない企業もあるので、学生の声や他社のプレゼンテーション等を見て、自社アピールの力をブラッシュアップする機会にもしてほしいと考えています」「しまね大交流会」以外にも、大学3年生向けに企業の協力を得て模擬面接訓練を行っている。その場では企業から学生が良い就職を実現するための働きかけやアドバイスがあり、学生は不安を解消し、自信をつけていく様子がいくつも見られるという。同時に、企業にとっても人材採用をうまく進めるための訓練になっている面があるという。実際のところ、企業がコンソーシアムの施策に参加しても、必ずしも直接自社の人材採用につながるとは限らない。ある意味学生の教育の一環に協力するという側面もあるが、企業も学生との接点を増やしていくことによって自社の対外的なアピール力や採用のレベルがあがっていくメリットを実感し、積極的に協力する関係性を築いている。「模擬面接といった機会は教員だけでは学生に提供するCOC+時には県内就職率10%アップをKPIに置いていたが、達成が難しいという現実をふまえ、現在は実現可能な数値目標を掲げている。「ステークホルダーの協力を得るためにも、目指す数値を明確にすることが大事」(松崎氏)出典:しまね産学官人材育成コンソーシアム 令和5年度事業計画書「しまねで活躍したい若者」を増やし持続可能な地域づくりを実現県内高等教育機関の県内就職率(単位:%)R2R3R4454035302520151037.936.937.736.132.7実績目標39.438.5図3 「しまね産学官人材育成コンソーシアム」の 取り組みと目標図4 コンソーシアムの最上位KPIの達成率と目標平成30年度現況値STAGE4STAGE3STAGE2STAGE135.5%大学訪問や出張講義令和6年度目標値1,112人2,278人210社182社645人795人R5R6地域連携で発展する大学
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