カレッジマネジメント237号
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内閣府作成8“Society 5.0”新たな社会Society 4.0 情報Society 1.0 狩猟Society 2.0 農耕Society 3.0 工業不足会全体の在り方に変革が及ぶというコンセプトが共有された。それがSociety 5.0である。Society 5.0とは、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の未来社会のことだ。サイバー空間に社会のあらゆる要素を再構築したデジタルツインがあり、制度やビジネスデザイン、都市や地域整備等を再構築したうえで、フィジカル空間に反映し、社会を変革していく。この社会像には、質の高いデータを収集・蓄積し、数理モデルやデータ解析技術によりサイバー空間内で高度な解析を行うという一連の社会基盤が求められる。合田氏によると、Society 5.0の意義は、以下のように整理できる(※1)。①Industry4.0のような欧米追随型の概念ではなく、日本の未来を新しく作っていくという意思が込められたコンセプトである点②政策決定主体が官邸にある官邸主導政治において、どの省庁にも共通の旗印として掲げることができるコンセプトである点③様々な社会課題を解決するためにどのような社会システムを構築する必要があるか、そのような社会を作るにはどのような技術が必要かという、あるべき姿から現状を見直し、進化させるバックキャスト的イノベーションリクルート カレッジマネジメント237 │Jul. - Sep. 2023を重視している点つまり、情報産業のみならず社会そのものを変える概念として提起されたものであり、第5期基本計画は以降の政策に「Society 5.0をどう実現するか」という軸足を作った意義が大きい。2017年の「経済財政運営と改革の基本方針」、通称「骨太の方針」以降、このワードは政府文書に頻出する。つまり、政府政策の全体において重要なコンセプトと言えるのだ。社会全体がシフトできないと日本がつぶれかねないという危機感がそこにはある。第5期基本計画を受け、経産省・文科省それぞれで、担当領域におけるSociety 5.0の実現に向け、踏み込んだ文書が出された。各文書のポイントは以下の通りである。①企業DXが進まない真因は経営層の思考アップデート出典:内閣府HP(https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/index.html)①経済産業省「DXレポート」②文部科学省「Society 5.0に向けた人材育成 に係る大臣懇談会」報告書政策のキーポイント2Society 5.0への道筋2018

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