関東・東海・関西エリアで私立志向が高まる大阪公立大学が関西エリアトップの顔ぶれにイメージ項目ランキング・進学希望分野別の特徴調査概要「国公立及び私立大学・短期大学進学志向」(p92)を見ると、関東・東海・関西の全エリアで私立志向が増加している。関東は長年私立志向が強いが、従来より国立志向が強かった東海においても、2023年調査では私立志向が増加して4割に達した。さらに国公立・私立が拮抗していた関西では6年連続で私立志向が上昇し、東海、関西エリアでは私立志向が過去最高となった。この背景として、下記2点の影響が考えられる。1点目は、入試制度の影響である。2025年から新課程入試が実施され、現在の教科・科目とは内容が大きく異なることから、2023年度の高校3年生は現役合格を目指す層が増えることが予想される。さらに私立は年内入試での入学者が今や6割に達し、年内入試の選択肢も多いことから、早期にチャレンジできる私立を志向する層が増えていると考えられる。2点目は、修学支援制度の拡充である。2020年より導入された修学支援制度だが、2024年より授業料免除等を中間層にまで拡大する制度改正が見込まれている。これにより国公立と私立の授業料の差が縮小することが背景にあると考えられる。3エリアとも志願したい大学のトップは近年大きな変化は見られないが、関西では2022年4月に開学した大阪公立大学が昨年から1ランクアップし、近畿大学と並んで同率2位となった。公立の大規模総合大学としての存在感が増していると言える。「大学のイメージ」ランキングでは、「学校が発展していく可能性がある」の項目で関東、東海では昨年に引き続き「東京大学」が1位となったが、関西では昨年19位だった「大和大学」が1位となった。大和大学は2014年開学だが、積極的に学部を新設しており、2023年には情報学部を新設した。進学希望分野別のランキングでは、「法律・政治」の関東において、昨年2位だった「明治大学」が1位、昨年3位だった「中央大学」が2位となった。中央大学は2023年に法学部を郊外から文京区の茗荷谷キャンパスに移転している。リクルート カレッジマネジメント238 │ Oct. - Dec. 2023 (文/岡田 恵理子)105調査目的2024年3月卒業予定の高校3年生の大学に対する志願度、知名度、イメージを把握し、関係各位の参考にする。関東エリア、東海エリア、関西エリアの高校に通っている2024年3月卒業予定者(調査時高校3年生)計154,091名 ※令和4年度学校基本調査の「全日制・本科2年生生徒数(県別)」、「中等教育学校・後期課程2年生(県別)」を基に、リクルートが保有するリスト(注)より 調査対象とする数を抽出 (注)リクルートが保有するリストとは、リクルートが運営する『スタディサプリ』会員リスト調査対象エリア区分■ 関東エリア(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県の1都6県)■ 東海エリア(静岡県、愛知県、岐阜県、三重県の4県)■ 関西エリア(大阪府、京都府、奈良県、和歌山県、兵庫県、滋賀県の2府4県)15,302名 回収率 9.9% ※関東エリア、東海エリア、関西エリアそれぞれにおいて令和4年度「学校基本調査」(文部科学省)の2年生(本調査の母集団:2024年3月卒業予定の高校3年生) から男女構成比を算出し、エリアごとの男女構成比を補正している。有効回答数集計対象数5,973名(関東3,173名/東海1,232名/関西1,568名)※今回から回答方法にWEB回答を追加したが、時系列比較のため、集計対象は上記有効回答のうち大学進学希望者・郵送調査回答者のみを抽出した。調査期間:2023年4月3日(月)~4月28日(金)関東 東海・関西 :2023年3月31日(金)~4月28日(金) 郵送調査+インターネット調査※調査票を郵送、回答を記入のうえ郵送または記載のURLからWEB回答調査方法進学ブランド力調査 2023年の特徴的な動き
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