カレッジマネジメント238号
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航空宇宙関連の産業集積地にある大学が担う課題解決産学官の本気の連携による、中核となる地方大学の大学改革と連動した、地域における中核的な産業の創出・振興につなげることが特徴。(産学官連携による継続的取り組みを通じた)出典:内閣府「地方大学・地域産業創生交付金」公募詳細説明資料よりCase Studies岐阜大学 東海国立大学機構 航空宇宙生産技術開発センター 事業実施主体研究開発フェーズ出口(目標)大学への要求事項28日本の航空機体製造の一大拠点である岐阜・名古屋地域。「航空宇宙生産技術開発センター」は、このエリアの産学官金がタッグを組み、航空宇宙産業の生産技術と人材育成を強化すべく2019年4月に岐阜大学内に発足した。1年後の20年4月に東海国立大学機構が発足してからは機構直轄の組織となり、名古屋大学と岐阜大学が連携した事業となっている。発足から4年、センター設立の背景についてセンター長の小牧博一氏に、さらに岐阜大学の生産技術人材育成の取り組みについて人材育成部門長の伊藤和晃氏にお話を伺った。岐阜・名古屋地域は戦前から航空機体製造の工場が多いエリアだ。現在は川崎重工業、三菱重工業、富士重工業(現スバル)といった大手機体メーカーの工場拠点を中心に、(研究開発力・事業マインドと)大手メーカーを支える中堅・中小企業が集積し、ボーイング787、H2ロケット等の機体部品がここから生まれている。国は11年に「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」として国際戦略総合特区に指定。しかし近年、新興国の航空宇宙産業の台頭が目覚ましく、日本の航空機産業は国際競争力強化の必要に迫られていると、センター長の小牧氏は説明する。「新興国の機体メーカーは低コストを打ち出しています。日本の航空機産業は設計にウエイトを置き、いいものを作るということに力点を置いてきましたが、今やそれだけでは勝てない。発注元であるボーイング社も機体製造のコストダウ岐阜県が主体となり、岐阜大学と川崎重工業、ナブテスコ等の企業が参画し、「航空宇宙生産技術開発センター」が発足。センター長小牧博一 氏連携人材育成部門長伊藤和晃 氏名古屋大学岐阜大学航空宇宙産業生産システムアーキテクトの育成図1 内閣府「地方大学・地域産業創生交付金」地方公共団体大学企業技術開発〜地域産業・若者雇用の創出特色ある大学づくり大学改革図2 航空宇宙生産技術開発センターの事業概要航空宇宙生産技術開発センター地域航空宇宙産業人材育成研究開発生産の高度化、自動化、知能化に向けた研究・開発人材輩出技術シーズ・川崎重工業(株) 航空宇宙システムカンパニー・ナブテスコ(株) 航空宇宙カンパニー・川崎岐阜協同組合・地域航空宇宙関連企業等教育プログラム提供講師派遣研究ニーズ技術者派遣航空宇宙産業の「生産技術」に焦点を当てた産学官金の地域エコシステム形成

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