カレッジマネジメント238号
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0から作り上げた「生産技術」人材育成カリキュラム図4 岐阜大生向け教育プログラム「航空宇宙生産技術システムアーキテクト人材育成プログラム」の全体像生産技術者を「生産システムアーキテクト」と名付け、機械工学と情報工学を基礎に、航空宇宙産業の生産技術の実際や、AIやIoTを活用した次世代の生産技術を学ぶプログラムとなっている。学部3年4年で9科目、大学院で6科目の単位取得によりそれぞれ修了証が出される。大学院科目の一部は社会人教育も兼ねている。岐阜大学が「生産技術」の志向を持った人材を育成する、といっても生産技術というものを大学が学問としてフォーカスすることは珍しい。センターの人材育成部門長を務める岐阜大学工学部教授の伊藤和晃氏は、センター設立の初期から携わってきた人物の一人として次のように語る。「生産技術というものはどちらかというと企業の現場で仕事をしながら覚えるようなもの。企業によっても考え方が違うので、大学で体系立てて教えるということが難しい分野ではあります。しかし製造業が盛んな中京圏を中高度なロボット工学の知識と情報工学の知識を持った学生(機械工学一般)工学一般に関する知識及び国際的コミュニケーション能力を習得機械工学の専門知識を習得機械工学科で開講する機械工学関連科目群航空宇宙生産技術に関する専門知識を習得・航空宇宙生産技術概論・航空宇宙生産技術(品質工学)・航空宇宙生産技術(経営工学)・航空宇宙生産技術(生産管理工学)・航空宇宙生産技術(学外研修)※工学部所属学生は学科によらずプログラム履修可能ロボティクス・メカトロニクスの専門知識を習得・航空宇宙生産技術(生産技術特論)・航空宇宙生産技術(特別講義)・航空宇宙生産技術(生産シミュレーション演習)※主に知能理工学専攻の専門科目として開講ロボット工学の知識を持った学生学部:情報コース (情報工学一般)全学科共通科目専門科目大学院:知能理工学専攻知能情報学領域専門科目高度な情報工学の知識と情報工学の専門知識を習得電気電子・情報工学科で開講する情報工学関連科目群・航空宇宙生産技術(機械工学概論Ⅰ)・航空宇宙生産技術(機械工学概論Ⅱ)・航空宇宙生産技術(情報工学概論Ⅰ)・航空宇宙生産技術(情報工学概論Ⅱ)データサイエンスの専門知識を習得・航空宇宙生産技術(開発設計特論)・航空宇宙生産技術(製造技術特論)・航空宇宙生産技術(実証評価特論)心にものづくりの根幹である生産技術を志向した学生を輩出していくことは、岐阜大学としても地域を盛り上げていくために重要であると考えました」しかし岐阜大学工学部には航空宇宙産業に特化した学科がなかった。そこで機械工学や情報工学を基礎に置き、その上に「生産システムアーキテクトコース」独自の航空宇宙生産技術科目を新たに設置した。「生産技術とは『コスト』『品質』『納期』のバランスの最適化、つまりいいものを安く安定的に供給するということです。そこでこの3つに関わる科目をそれぞれ用意しました。コストは経営工学、品質は品質工学、納期は生産管理工学。これらの分野を実践的かつ体系立てて教えられる大学院生向け科目 航空宇宙生産技術(製造技術特論)の講義模型飛行機自動組み立て装置を使った生産管理演習チームで課題を解決することでお互いの専門知識を理解高度な生産システムアーキテクトを育成学部:機械コース・知能機械コース 専門科目航空宇宙生産技術科目群(学科)大学院:知能理工学専攻知能機械領域専門科目航空宇宙生産技術科目群(大学院)航空宇宙生産技術に関する実践力を習得30

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