カレッジマネジメント238号
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地方の衰退9876自治体、企業、大学の本気が成功を呼ぶ人を見つけるのは難しく、そこで産業界の方や他大学の先生に協力をお願いしました」(伊藤氏)また、航空宇宙産業に特化した生産技術のテキストを独自に1冊作り上げた。「川崎重工業で何十年も現場に携わってきたOBの方々の協力を得て、航空機づくりで重要なエッセンスや過去の知見をふんだんに盛り込んで頂きました。このテキストを使ってその方たちに授業も担当頂き、生産技術の本質が学べる講義になっています」(伊藤氏)このほか、実習系として、ドローンや滑空機を設計・製作する授業も用意した。これらは航空工学の知識も必要になるため、名古屋大学の航空工学に関する単位互換科目を全員受講する。「今の時代、ものづくりを経験したことがない学生も多くいます。ドローンや滑空機を題材にして設計・生産・評価のものづくりの一連の流れを経験していくのでかなりハードワークなのですが、学生の満足度は高いですね」(伊藤氏)また大学院向けのカリキュラムの一部は履修証明プログラムの社会人教育にも活用。主に地元の製造業から学びにくる社会人が多いそうだ。コースづくりでは産業界がどういう人材を欲しているのか理解することも大事だ。そこで企業のニーズを聞いたうえでカリキュラムを作成し、さらにカリキュラムの内容を産業界と一緒に点検してPDCAを回すための会議を年に2回行う。常にカリキュラムが産業界のニーズに即したものになるような仕組みをつくっている。学部生、大学院生の岐阜県内就職率は過去実績を上回る数値に。グラフは本社所在地が岐阜県内の企業に限られているため、川崎重工業の岐阜県内工場や名古屋・岐阜の航空宇宙産業への就職を視野に入れると大きな効果が出ていると見込まれる。(%)9.6%8.6%事業開始前(2015-2017)の3カ年平均11109.2%8.3%このように岐阜大学における生産技術の人材育成は、企業や多くの外部の協力者を得ながら産業界のニーズに合ったカリキュラムを着実に確立しつつある。生産システムアーキテクトコースは23年4月で丸3年を迎え、受講修了者数は学部生で60名、大学院生で12名となった。うち、岐阜県内の就職者はKPIにおいた27名を超え32名となり、県内就職率もコース実施前と比べると確実に大きくなる結果を生み出している。(図5)さらに最近のコース受講者のなかには就職活動で最初から「生産技術をやりたい」という学生も出てきているという。これまでほとんどの学生が「設計をやりたい」というなかで、こういった学生は企業を驚かせているそうだ。「現在ある程度の実績が出せているのは、やはり参画されている企業さんが本当に一生懸命一緒にやって下さっていることが大きいと思います。小牧センター長もそうですが、企業から出向やOB派遣という形でセンターを盛り上げて頂き、カリキュラムづくりから講義の提供まで責任感を持って全面的にサポートして下さっています。また、大学内でも名古屋大学との単位互換等は両大学の事務方の協力なしでは実現できませんでした。こういった活動は自治体、企業、大学の3つが全部本気になって初めて機能するのだと感じています」(伊藤氏)9.8%(年度)(文/木原昌子)図5 本プロジェクト対象の岐阜大学機械系・情報系の学部生・大学院生の岐阜県内就職率年への意思決定3120182019202020212022特集204002

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