日本の国際競争力低下国際卓越研究大学制度国際卓越研究大学研究等体制強化計画博士課程学生の支援・英語と日本語を共通言語として、海外トップ大学と日常的・授業料が免除され、生活費の支給も受け、思う存分、研究しCSTIの最終まとめも踏まえ、令和4年11月15日には、「国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律(国際卓越研究大学法)」が施行され、同法に基づく基本方針を決定した。大学ファンドによる支援を通じて、日本の大学が目指す将来像のイメージは次の通りである。・世界最高水準の研究環境(待遇、研究設備、サポート体制等)で、世界トップクラスの人材が結集に連携している世界標準の教育研究環境ながら、博士号を取得可能「国際卓越研究大学」の認定に当たっては、これまでの実績や蓄積のみで判断するのではなく、①国際的に卓越した研究成果の創出といった研究力、②実効性が高く意欲的な事業・財務戦略、③自律と責任あるガバナンス体制の三つの観点から、世界最高水準の研究大学の実現に向けた変革への意思(ビジョン)とコミットメントの提示に基づき、文部科学大臣が認定する。国公私立大学を対象として公募を行い、認定された大学に対して、大学ファンドからの助成を含め、総合的な支援を実施する予定である。また、審査に当たっては、国際卓越研究大学の認定等に関する有識者会議(アドバイザリーボード)を設置し、アカデミアの特性も踏まえつつ、国際的な視野から、高度かつ専門的な見識を踏まえられるよう、外国人有識者も加えた適切な体制を構築している。4月21日に開催されたアドバイザリーボードの第1回会議では、永岡文部科学大臣からは「世界最高水準の研究大学の実現に向け、ぜひ、大学側との対話を通じ、変革への意思と将来構想を引き出し、挑戦を後押しして頂きたい」との発言があった。令和6年度以降の支援開始に向け、審査においては、研究現場の状況把握や大学側との丁寧な対話を実施することとし、透明性や実効性を担保しながら進めていくこととしている。国際卓越研究大学は、自ら作成し、文部科学大臣の認可を受けた体制強化計画に基づき、大学ファンドから助成が行われることになる。国際卓越研究大学は、大学の持続的成長に向けて、自然科学のみならず人文・社会科学を含め、長期的視野に立った新たな学問分野や若手研究者への投資等、次世代の知・人材の創出にも取り組むことが求められており、事業の実施に当たっては、そのような長期的なビジョンを含めて記載することとなる。具体的には、安定した若手のポストも含めた若手研究者の育成や海外研さん機会の提供、URA等の研究マネジメント人材、技術職員等の専門職人材、国際研究協力を支える事務職員、ファンドレイザーや財務専門職員等の確保やキャリアパスの構築、大学発スタートアップの育成支援等に取り組むことが想定される。体制強化計画の期間については、短期的な成果主義に流されず、長期的に大学の取組や活動を後押しすることができるよう、最長で25年とし、その範囲内で、大学が自ら設定することとしている。また、体制強化計画の認可に当たっては、世界の学術研究ネットワークを牽引し、新たな研究領域やイノベーションを常に創出し続けるマネジメント・システムを構築するため、既存の制度に縛られず、学内外の叡智を結集して取組を進めていく計画であること等を確認することとしている。特に、研究上のポテンシャルを向上し続ける方策として、世界トップクラスの研究者・学生が糾合する新しい研究領域の創出、ジェンダーギャップの是正やアカデミック・インブリーディングの抑制を含むダイバーシティの担保、若手研究者が独立して研究室の縦割りを越えて触発し合い活躍できる場の提供、URA等の研究マネジメント人材や技術職員等の専門職人材の積極登用、卓越した研究成果の創出に必要な研究時間の確保のための環境整備等が明確に示されていることが求められる。冒頭に挙げた骨太方針には、博士課程学生に関わる事項として、「イノベーションの源泉である優秀な若者が博士を志す環境を実現する。博士課程学生の処遇向上、挑戦的な研究に専念できる環境の確保、博士号取得者が産業界等を含め幅広く活躍できるキャリアパス整備等、魅力的な展望が描けるよう総合的な支援を一層強化する」ことも記載されている。我が国全体の研究力を底上げするためには、優秀な博士課年への意思決定43特集204004
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