カレッジマネジメント238号
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グランドデザイン答申が契機に若手を中心としたグループで自由闊達に議論ポートアイランド第1キャンパス兵庫県神戸市に2つのキャンパスを置き、文理10学部を設けている私立総合大学の神戸学院大学は、2023年1月、2040年を見据えた長期ビジョン「KOBE GAKUIN INNOVATIVE VISION 2040-Leading to the Future『未来と繫がる改革ビジョン2040-人と、地域と、世界と繫がるために-』」(以下「改革ビジョン2040」)を公表した。改革ビジョン2040の策定プロジェクトが始まったのは2020年だったと、中村学長は振り返る。「当時の私は現代社会学部の学部長で、策定プロジェクトに直接関わってはいませんでした。しかし、関係者から聞いたところでは、きっかけの一つは中央教育審議会が2018年にとりまとめた『2040年に向けた高等教育のグランドデザイン』だったようです。2040年は学校法人創立130周年、大学創立75周年という節目とほぼ重なる時期でもあり、このタイミングに合わせて未来の神戸学院大学像を打ち出そうとする気運が、学内で盛り上がっていました。そして2020年に新型コロナウイルスの感染拡大が始まり、『神戸学院大学の志』を明確にする必要性はさらに高まったのです。そこで当時の学長だった佐藤雅美先生が主導し、改革ビジョン2040に関する議論が始まりました」有瀬キャンパス改革ビジョン2040に関する議論は、学長、副学長、事務局長で構成される「学長室会議」で開始された。そして2021年5月、田中康介副学長(経営学部教授)が座長を務めるワーキンググループが発足。教員からは副学長を含めた6人、職員からも6人が参加した。「参加メンバーは、当時の佐藤雅美前学長の指名によっており、各学部・各部署の代表を集めたわけではありませんでした。学内のさまざまな知見を生かしながらも、大学の将来を全学的見地から議論してもらうという意図で、比較的若手のメンバーで構成されていました。特に職員は、2040年の本学を担うであろう30~40代が中心になっていました。当時の議事録を読むと、皆が神戸学院大学の未来について熱心に、そして自由闊達に議論していた様子が伝わってきます。これは、メンバーを若手中心にした効果が表れたゆえかもしれません」ワーキンググループでは、18歳人口の動向や技術の進歩、長寿化などの社会変化を織り込みつつ議論を進めた。そして1年弱に渡って作業を続けて2022年3月に最終答申をまとめ、インフォーマルな会議体である「学部長懇談会」に提出したという。「まずは学部長たちから非公式な反応を集め、その後で各学部の教授会や各部局で議論する時間を設けて意見を集約してもらいました。私が学長に就任したのはこの時期です。そして6月、学部長や事務の役職者が参加している『総合企学長中村 恵 氏casestudies50神戸学院大学2040年に向けた長期ビジョンを明確にする大学法人130周年、大学75周年に向けて「志」を明確化

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