れることで、改めて認識してもらうようにしています。――最後に、職員に期待される役割とはどのようなものだと思われますか。小野 大学職員の役割は変わってきています。マネジメントにおける職員の役割が多岐にわたり、量的にも質的にも大きくなっているし、今後もこの傾向は進むでしょう。従って、自分の目の前の仕事に精通しているだけでなく、広い視野で様々な知識と能力を蓄積し、人間関係構築を含めたヒューマンスキルも駆使して大学をマネジメントする力が必要になります。今回の将来構想の策定・推進においても、幼稚園から大学まで9つの学校を持つ本学で、法人系と教学系をつなぎトータルでコントロールするのはとても複雑な作業です。教員も理事もできない実務を、一定の専門性を持った職員こそが担うべきであると考えて実践しているところです。そして、職員が志を持って大学に貢献するためには、ポジションも確保しなければいけないと思います。言葉だけの教職協働ではなく、教員や理事の方々と対等に議論できるだけの能力とポジションを備えた、新しい職員像を実現することが大事だと思います。花嶋 事務を行うことだけが大学職員の仕事ではなくなってきて、教員と共に学校運営を担うという意味では、世の中の動きを常に見ていかなければいけません。また学生の成長が大学の目標ですが、職員自身も成長し続けるという気持ちと、改革志向を持ち続けることが重要だと思います。大学職員のなかにはどうしても安定志向で、新しい試みや 何かを変えることに慎重な人もいるのですが、現状維持では成長していないことになると考えています。また、教員は学長も学部長も任期制ですが、職員の継続性という点は教員の役職者とは異なる特徴だと思います。ですから、大学の執行部なり学長や学部長が変わっても、職員がきちんと自大学の課題を認識して、どういう大学を目指すのかを次の世代に引き継いでいくことは、職員のあるべき姿だと思います。後進の育成を常に念頭に置き、マインドも含めて次の世代へとつなぐ。この継続性において、大学設置基準が改正され、教員組織から教育研究実施組織として職員との協働が明示されたことには、意味があると感じています。――花嶋さんは事務局長でいらっしゃいますが、企業も大学も未だに同質性が高いなか、大学の女性経営層は珍しいのではないでしょうか。花嶋 本学の場合、理事15名の定員中、女性は私を含めて2名です。ですが事務職員の管理職に占める女性の割合は高く、職員全体の女性比率は4割弱、課長補佐以上の女性管理職の比率は3割を超えています。私も学内で「初の女性事務局長」とは言われますが、法人の経営層の中には、30年くらい前から意識して女性の管理職を増やそうという考えがあり、そういう下地があってのことです。男女がいての社会が成り立っているわけですから、一方からだけの視点ではなく、女性の視点も含めて見ることが、持続可能な社会にとっては良いことではないかと思います。 ――ありがとうございます。従来型の事務職員ではなく、経営と教学をつないで未来に向けた大学運営を進めるためには、お二人のお言葉をお借りすると、広い視野、改革志向と継続性を持って大学を支える職員の力がますます重要になると感じました。(文/能地泰代 撮影/小山昭人)年への意思決定59これから期待される職員の役割とは?特集2040
元のページ ../index.html#59