カレッジマネジメント238号
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この数年が改革の最後のチャンス造人間は存在するが、われわれみんなが使っているスマートフォンは存在していない。未来を想像するということは、そのくらいに難しいことである。そう考えると、そんな先の将来予測や長期ビジョン等を策定しても意味がない、という声にも一理あるように思える。しかし、2018年のカレッジマネジメント211号の特集「2030年の高等教育」の冒頭に、2040年までの「将来の高等教育マーケット予測」として、将来年表を掲載しているが、18歳人口の減少数が予想を上回って推移している以外には、当時想定した事象自体は大きく修正する必要がない状況である※。今回取材した2040年のビジョンを策定した大学は、将来は予測しづらいものの、その社会の姿をイメージしていた。そして、大学の将来に向けた志を明らかにし、目指す方向性を全学で共有していることに意味を置いていることが分かった。こうしたことは、大学経営及びその構成員にとって、少なくない影響があると感じる。人口減少が高等教育を取り巻く大きな制約条件であることは間違いない。しかし、18歳人口は、2024年に一時※カレッジマネジメント211号https://souken.shingakunet.com/publication/collegemanagement/211jul-aug20182-a715.html的に大きく減少するものの、その後2029年頃までは多くの地域で横ばいとなる。従ってこの数年にどのような改革を進めるのかが重要なポイントである。2016年~2020年には、定員厳格化の恩恵で一時的に多くの中堅私学の志願者が増加した。この期間に安心してしまって改革が停滞した大学と、将来を見据えて改革を推進した大学では、現在大きく差が開いているように感じる。改革は、文科省に言われたからではなく、大学自らの目的の実現に向けて行うものである。改革を進めている大学は改革を止めるのが怖くなり、改革していない大学は失敗を怖れて改革すること自体が怖くなる。これが5年もすれば大きな差になることは明らかだ。ピーター・ドラッカーは、その著書で『すでに起こった未来』という言葉を使っている。将来予測は難しいが、少なくとも人口は18年後まで分かっている。再び、人口減少フェーズに入れば、改革成功の難易度は格段に高くなる。ここ数年が、将来に向けた改革の最後のチャンスといえるのではないか。年への意思決定61特集2040

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