教育価値を高める経営戦略としてのDXデジタルを活用できる食・栄養の専門人材育成医療情報学科兼総合研究所副所長 教授 今泉一哉 氏学長戦略本部教学マネジメント・DX推進PTリーダ- 教授 瀬戸僚馬 氏とっているのだ。背景には、2018年頃、補助金申請の際に外部資金獲得状況を分析すると、外部資金比率が非常に低かったことがあるという。「産学連携や共同研究等、社会への価値還元のスキームが属人的であり、事業申請等をするときに点数化ができない状態でした。これはまずい、と」(今泉氏)。そこで、学内の部署を横断的に活動できる産学連携の主体として、学外企業とも連携し、「総合研究所」を活用することにしたのだという。その直後にコロナ禍となり、デジタル化を加速させる役割も担うことになる。「活動主体を置くことで横断・協働がしやすくなったのは間違いない」と今泉氏は当時を回顧する。「教員同士の協働が推進されただけでなく、総研を核として、教員と事務局で協働しやすくなりました」と水野氏も述べる。今回の事業採択においても、理念を中心に設計するのが今泉氏、ロジックを組むのが瀬戸氏、アイデアを付与するのが齋藤氏、組織内の合意形成や細部設計を担当するのが水野氏という役割分担で、チームで取り組んでいるという。図に示す通り、採択事業では ①食・栄養DX ②ヘルスデータサイエンス の2領域におけるデジタル人材の育成を掲げている。担当するのは①が医療栄養学科、②が医療情報学科だ。「本学で5つある看護学科とは別に、医療情報学科と医療栄養学科は就職先が必ずしも病院ではなく、企業や事業所等幅広い。産業DXでは大学として各産業のデジタル課題に即した人材育成・輩出を行うという趣旨からして、本学は医療系大学としてヘルスケア産業の課題解決リクルート カレッジマネジメント238 │ Oct. - Dec. 2023医療栄養学科 准教授齋藤 さな恵 氏企画部部長代理・学修基盤推進室水野義樹 氏による新たな価値創出データサイエンス(DS)教育の最前線東京医療保健大学(以下、THCU)は2021年度文部科学省「デジタルと専門分野の掛け合わせによる産業DXをけん引する高度専門人材育成事業」に「ヘルスケア産業のイノベーションを加速しwell‐beingに貢献するデジタル人材の育成」が採択された。その趣旨について、医療情報学科兼総合研究所副所長の今泉一哉教授、同学科学長戦略本部で教学マネジメント・DX推進PTリーダ-の瀬戸僚馬教授、医療栄養学科の齋藤 さな恵准教授、企画部部長代理・学修基盤推進室の水野義樹氏にお話を伺った。THCUは、学修成果の可視化や学修者本位の教育実現のためにデジタルを利活用する大学を選定する「デジタルを活用した大学高専教育高度化プラン」(plus-DX)にも2020年度採択されており、2年連続でデジタル関係の約1億円規模の補助金を獲得したことになる。では、大学としてデジタルに注力するのはなぜなのか。今泉氏は、「本学が『多様な価値観を尊重し、一歩先を歩み続ける開かれた大学』を目指して策定した大学ビジョンには、『DXを取り入れ、教育・研究・学生支援・学内業務を大胆に改革し、デジタル社会を先導するスマートキャンパスを目指す』と明記されています。その意味するところは、本学は2005年設立の新設大学ですから、ブランド力の高い伝統校と同じことをやっても仕方ない、大手がやっていないようなことに振りきって独自性を作っていく必要があるということです」と話す。つまり、教育価値を高めるという目的のほかに、経営戦略的にデジタル注力というスタンスを69事例report_13 東京医療保健大学DX人材育成を競合優位性として推進
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