カレッジマネジメント238号
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(年)供給不足労働需要・労働供給2040203920382037203620352034203320322031203020292028202720262025202420232022「人」と「組織」に関する研究機関であるリクルートワークス研究所は、2023年3月、2040年の日本社会をシミュレーションした『未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる』を発表した。その内容は、少子高齢化による人口減少が続くなか、2023年の現在から17年後の2040年には、社会的な需要に対して労働力の供給が明白に不足する「労働供給制約社会」が訪れるというもの。「Works未来予測20XX」プロジェクトのプロジェクトリーダーを務める主任研究員の古屋星斗氏は次のように説明する。「単に企業・産業の立場から見た人手不足という問題ではなく、私達の生活を維持するために必要な労働力が足りなくなるということです。具体的には、輸送・機械運転・運搬、建設、生産工程、商品販売、介護サービス、接客給仕・飲食物調理、保健医療専門職といった領域で、現在私達が享(万人)70000.0-12.8-25.1-63.3680066006400620060005800供給不足560054005200-101.7-192.8-236.1-282.8労働需要-341.5-389.1-479.2-539.7-604.0労働供給出典: 15歳〜64歳人口・65歳人口:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」 18歳人口:文部科学省 大学分科会資料受しているサービスを支える労働力が明らかに不足することが予測されます」。図表1は今後の人口動態の予測だ。上記サービスを担う労働力のボリュームゾーンである15~64歳の生産年齢人口は、2040年には現在から1100万人減少する。このような「高齢者世代の人口が漸増し、生産年齢人口が急激に減少していく未来」については、既に認識している読者も多いだろう。図表2は、図表1の予測を踏まえて推計した労働需給のシミュレーション。ここに示された通り、人口が減少するなかでも労働需要は減少しないと予測される。その大きな要因は、上記生活サービスへの依存度が高い高齢者世代が減少しないことにある。そのため、15~64歳の人口減少が労働需給にも直接影響し、2040年には1100万人の供給不足が起きるという。リクルートワークス研究所主任研究員-678.9-736.9-833.2-916.02011年一橋大学大学院 社会学研究科総合社会科学専攻修了。同年、経済産業省に入省。産業人材政策、投資ファンド創設、福島の復興・避難者の生活支援、政府成長戦略策定に携わる。2017年より現職。労働市場について分析するとともに、若年人材研究を専門とし、次世代社会のキャリア形成を研究する。一般社団法人スクール・トゥ・ワーク代表理事。(万人)0.0-200-400-600-800-1000-1000.7-1100.4-1200図表2 労働需給シミュレーション/2040年には1100万人の供給不足年への意思決定7特集2040労働力需要が漸増する一方で供給は激減人口動態は?15~64歳の人口減少により労働力供給不足が起こり、生活サービスの維持が困難に古屋星斗 氏

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