正課外正課発展応用基礎実就職率をKPIとして徹底したキャリア支援性別を意識することなく、自分の特性や生き方を見つめる女子大学に“3段階積み上げ型”認定プログラムSTEP 3学外で自己と他者のリーダーシップを開発するSTEP 2他者のリーダーシップ開発を支援するSTEP 1開発する自己のリーダーシップを79する。STEP2「応用」は、STEP1を履修した学生が学習アシスタントとして授業を運営し、他者のリーダーシップ開発を支援する。「共学の大学では、グループワークを仕切るのがつい男性になるとか、役割がジェンダーで決まってしまうこともあると聞きます。女子大だからこそ、性別の役割から解放されて個人として役割を担い、自分自身を見つめ直す、いい場ができています」(森本キャリアセンター長)。一方で、女子大学のクローズドな場だけでは不十分との考えから、正課外のSTEP3「発展」では、他大学と合同の短期集中講座「リーダーシップ・キャラバン」への参加など、主に学外で、自己と他者のリーダーシップ開発を行っている。履修人数は、STEP1が3学部(文学部、国際学部、人間科学部)の2割強にあたる約130人、STEP2とSTEP3は20人前後だ。ワンキャンパスのメリットを生かして3学部8学科横断で学ぶ一方、実習科目の負担が大きい看護リハビリテーション学部と医療栄養学部で実施できていないなどの課題もあり、拡充、さらには全学導入の構想があるという。甲南女子大学が「就職に強い大学」との評価を高めだしたのは、看護リハビリテーション学部を開設した2007年頃。以来、キャリア志向をも明確に打ち出し、実就職率をKPIとして、教学とキャリア支援とを両輪としている。深澤貞信キャリアセンター副部長は、実就職率ランキング上位への定着は、「1学年約1100人という小規模ならではの個別サポートを継続してきた成果でもある」と言う。「23年卒の学生では、600人程度が1回以上キャリアセンターの個人面談を受け、延べ人数では年間4000人ほどになりました」。リーダーシップ教育の成果は、就職実績などの明確には表れていないものの、学生が採用面接で「あなたがいるグループは、何だか楽しそうになるね」と高評価を得たなどの事例は出ているという。就活シーンで問われる「自己肯定感」の観点からも、リーダーシップ教育には期待がある。「自己肯定感がある学生は、就活で何度落とされても、自分なりにフィードバックして何かしら自分の糧にし、次に挑んでいくことができる」(深澤副部長)。このような力が入社後の活躍にもつながることは、想像に難くない。秋元学長は、卒業生に「生き抜いてほしい」と強く願う一方で、大学自体についても「女子大学の生き残りが、大変厳しいことは承知しております」と言う。しかし女子大学には、今でも存在意義があるとも考えている。「性別を意識することなく自分の特性を見つめ、一人の人間としてどういうふうに生きていくのかをひたすら考え、その根幹となる力を養うことができる大学ということです。本学はワンキャンパスという規模ではありますが、きらりと光るものを持った女子大学として、生き抜いていきたいと考えております」(秋元学長)。(文/松村直樹 リアセックキャリア総合研究所)
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