22ワンランク上のキャリアを目指す、全国初となる取り組みもスタートします。――学校法人のトップとしての今後のビジョンと戦略をお聞かせください。 井原 私が大事にしている格言みたいなものに「遠くに行きたければ、みんなで行け」という教えがあります。近くなら1人で決めてもいいのですが、5年先、10年先の長期ビジョンを形成するには、みんなで文化・伝統・風土、そして現実を作っていかなければいけません。冒頭で、教学と経営の一体的運営が私の今の最大のテーマだと申し上げましたが、それを実現するための一丁目一番地がグランドデザイン策定です。実践でもそれを行ってきて、白梅でもグランドデザイン策定会議の第一回会議を開いたばかりです。教学側の自主性を尊重しながらも、教学と経営が一体化しなければその学校の存在がなくなるというのが私の主義主張ですので、大短高中幼と5つの学校がありますが、まずは各学校の責任者に各々の分科会で教学グランドデザインを作ってもらっています。一方、ヒト・モノ・カネを要素に法人全体を維持していくための経営グランドデザイン策定のほうは、別の分科会を作りました。そして最終的には、教学系の夢と理想と、経営系の現実の厳しさを併せたものが法人全体の未来像になるので、学内には「10年先を見据えて考えて下さい」と言っています。濱名 我々が法人合併をした時に、私学関係者から1番無理だと言われた最大の理由が、それぞれの建学の精神をどう統一するかという問題でした。そこで過去は変えられないけど未来は変えられると、両方のミッションの上に新たな共通ミッション「濱名山手学院教育ミッション」を作ったのです。教育ミッションなので教職員に対する呼び掛けなのですが、「『他者を尊重しつつ、主体的・能動的に自らの人生を切り拓く』ことができる人間を世界に送り出す」ために、3つのC(Communication・Consideration・Commitment)を実行できる人材の育成を、それぞれの学校レベルで考えていくという内容です。そもそも合併を考えた理由は、関西国際大学の校地への課題感です。三木だとロケーションの面で厳しく、尼崎はロケーションはいいが収容力が限られるということで、神戸に出たいという話のなかで生まれました。そして神戸を中心に展開するなら、「グローバル」は意識せざるを得ません。そこで冒頭にお話しした募集市場の発想転換をし、今後は留学生を積極的に受け入れ比率を高めていくつもりです。大学は現在の11%から2割でも多くないと思いますし、中高も同様に考えています。国際化という多様性を取り入れることなく神戸のロケーションを生かしたとは言えないでしょう。そのためには、海外の学校との提携や、日本語が不十分でも学位が取れるような教育体制を確立する必要があります。また入ってくる学生が多様になると、ここまでに成功体験を持っている子が多数派ではなくなります。そこで重視すべきは経験学習で、本学はこれまでも経験学習を通してモチベーションや自己効力感を高めていく教育に力を入れてきましたが、さらに強化していくべきだと思っています。世界では留学生の学費が自国民よりも高いのは普通ですが、その分、高い学費を頂いてもよいと言えるだけの教育システムやサポート体制や学習環境を作り上げ、グロー今後のビジョンと戦略とは3
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