カレッジマネジメント239号
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55「本学の教育の中核と、そこに必要な資質・能力」の解像度を上げるディプロマ・ポリシー(DP)卒業認定・学位授与の方針各大学、学部・学科等の教育理念に基づき、どのような力を身につけた者に卒業を認定し、学位を授与するのかをカリキュラム・ポリシー(CP)教育課程編成・実施の方針DP達成のためにどのような教育課程を編成し、どのような教育内容・方法を実施し、学修成果をどのように評価アドミッション・ポリシー(AP)入学者受入れの方針関連して気になるのは、「教科科目」の項目にある「APに定める全資質・能力等を全入学志願者に問うことが現実的ではない場合であっても、中核的なものは全入学志願者に評価判定することを原則とすることが必要」とする文章だ。「中核的」とはどのように理解すればよいか。自校教育に絶対に必要となる資質・能力が大学ごとに異なることは大前提だが、例えば単に「グローバルな人材を育成する」というDPでは何が必要か分からないが、「異文化への配慮と研究的な会話ができる英語運用能力を持つ人材」と示されていれば、「教育において異文化との交流や議論を必ず置き、研究領域における議論の土台となる論理構成力を4年間かけて育むために全学年で学部横断科目を設置し、英語教育においては専門用語を含めた会話や意思疎通を重視する」といった教育編成につながり、「そうした教育に参加するための英語力として入学時点でどの程度を求める大学入学者選抜検討に際しては、最初にAP策定が必要APに示す内容は、DPに定められた学修目標の幅広さと水準を十分踏まえつつ設定される必要がある特に在学中の教育課程、特に初年次に開設された授業科目を履修するために必要な資質・能力等を備えているかを踏まえる必要がある総論①入学前にどのような資質・能力等を身につけていることを求めるのか②それをどのような基準・方法によって評価・判定するのかについて具体的に示す学力検査で課す教科・科目は、各大学の教育(特に初年次の授業科目履修)に必要なものを課しておくのが第一の選択肢大学で学びたい意欲等を有する者を積極的に受け入れる場合、学力検査をあえて課さないこともあり得るが、各大学のDPを達成できるよう、リメディアル教育を含めた適切な措置を設計する学力検査で課す教科・科目等についてAPに定める全資質・能力等を全入学志願者に問うことが現実的ではない場合であっても、中核的なものは全入学志願者に評価判定することを原則とすることが必要一方、それ以外は選抜区分ごとに異なる比重で評価・判定することにより、全体ではAPに定める資質・能力を備える学生が含まれているように設計することが必要大学入学者選抜が、高校教育と大学教育を接続する教育の一環としての性格を強く有することに鑑み、各大学において高校教育等の実情を理解するよう努めることが必要高校教育との接続大学入学者選抜が、求める学生を適切に見いだすものとなっていたか自己点検・評価を行い、その結果を踏まえて、評価方法やポリシー等の見直しを適宜行うことが必要点検・評価の実施定める基本的な方針であり、学生の学修成果の目標となるものするのかを定める基本的な方針各大学、学部・学科等の教育理念、DP、CPに基づく教育内容等を踏まえ、どのように入学者を受け入れるかを定める基本的な方針であり、受け入れる学生に求める学習成果(学力の3要素※についてどのような成果を求めるか)を示すもの※①知識・技能 ②思考力・判断力・表現力 ③主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度か」といったAPにつながる。この場合中核的な能力とは「本学で重視する異文化交流、論理構成力、コミュニケーションを軸とした教育に必要な能力」を抽出して定めるということになろう。また、平野氏は「アセスメントプランを予め決めておくことも大事です」と言う。「そうしないと、点検するときに達成できたと言えそうな材料を見つけに行ってしまうことが多い」。例えば、初年次教育についてこられたかを測りたいのであれば初年次の成績を検証項目とする。学力以外の要素の伸びを見たければ、総合的なアクティビティでの発言量と質について、ルーブリックを以て測定するといった具合だ。「マネジメントサイクルの基本として、何を測るのか、どのように測るのか、どこまでいけば目標達成できたかとするかを予め定めておくことは、この大学がどのような教育を行い、どのような成果を出しているのかという社会へのアカウンタビリティを果たすことにもなります」と平野氏は述べる。「教学マネジメント指針(追補)概要」(2023年2月24日)より編集部作成「3つのポリシーの策定及び運用に関するガイドライン」(2016年3月31日)図1 教学マネジメント指針(追補)概観図2 3つのポリシー第2特集●大学入学者選抜の現在地

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