58主体性の高い学生を呼び込む入試制度高大接続支援のため受験生向け講座を提供事例だ。ALにとって必要な協働の資質を持つ人が多いとも言える。2018年度におけるPASCAL入試の募集定員は100人、全学の募集定員の7%程度だった。ところが2024年度の募集定員は168人、全学の募集定員の11%あまりにまで拡大している。このことから分かるように、PASCAL入試に対する学内の評価と期待は高い。「PASCAL入試で合格した学生のGPAは、全入試形態の合格者の中でも高くなっています。また、大学生活を通じて自らがどの程度成長できたか学生に問う調査でも、PASCAL入試合格者の成長実感値は全学生の平均値を大きく上回っているのです。入学時の学力が高いことはもちろん大切な要素ですが、主体性や協調性等の分野で強みを持つ学生、そして志願度が高い学生のほうが入学後も伸びていく可能性が大いにあるのではないかと、私たちも認識を新たにしているところです」(中山氏)。教育機関の大事な役割は、伸び代の大きな学生を合格させ鍛えることだというのが同大学の考え方だ。そうした方針をさらに発展させたのが、2022年度から導入された「PASCAL入試チャレンジプログラム」である。これは高3生を対象にし、PASCAL入試で評価される学力の育成を目指して開かれるオンライン講座。入試本番と同じようにグループワークを行う「LTD体験」と、高校生の能力や経験を棚卸しして大学で学ぶ意味や志望学部等について考えを深める「キャリアプランニング」の2本立てとなっている。アドミッションズセンター長中山雅司 氏多面的・総合的評価を実現している大学の事例をご紹介する。Case Studies創価大学は2018年度から総合型選抜「PASCAL(パスカル)入試」を実施している。これは“Performance Assessment of Students' Competency for Active Learning”を略したもので、アクティブラーニング(AL)を行うための学生のコンピテンシー(能力)を(ペーパーテストではなく)パフォーマンスによって評価する試験のことだ。具体的には、課題教材をもとに予習ノートを作成したうえで受験当日のグループディスカッションに臨むLTD(Learning Through Discussionの略。話し合い学習法)方式(文系学部)と、事前に用意したスライドを用いて発表を行うプレゼンテーション方式(理工学部)の2通りがあり、それらを通じて受験生の能力を評価するものだ。アドミッションズセンターの中山雅司センター長は、PASCAL入試の狙いや位置づけについてこう語る。「本学では2000年以来、全学的にLTDを含めたALを授業へと積極的に導入してきました。その方法を入試にも取り入れることで、そこで必要とされる能力・適性を持つ学生を広く募り、入学後の学びにもつながるようにPASCAL入試を取り入れたのです。文科省は学力の3要素を①知識・技能②思考力・判断力・表現力③主体性をもって多様な人々と協働して学ぶ態度と示しています。本学では、一般選抜等で①を、小論文と書類審査・面接試験で合否判定を行う『総合型選抜 小論文方式』等で①②を、PASCAL入試等では②③を合わせて測ることにより、多様な学生を集めようとしています」。PASCAL入試はその性質上、議論を得意とする受験生も多く挑戦する。ただし、中山氏によるといわゆる『仕切り屋タイプ』を求めているのではなく、むしろチームとして他者と協働・協力して意見を述べ、議論を作っていける人を求めているという。実際に集まってくる受験生もむしろ社会性が高く周囲に気遣いできる人が多いそう01_創価大学 総合型選抜 PASCAL入試アクティブラーニングを活用したユニークな入試で多様な受験生を確保
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