カレッジマネジメント239号
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64主体的に課題を設定し、解決するビジネスを創造できる人材を育成社会課題の解決、探究との接続、企業の後継者育成に資する入試を設計事例また、育成する人材の質を保証するためにカリキュラムの約75%を必修科目としている点や、課題発見力の育成に注力している点、課題解決型の学びにおいて都度、教員、連携企業・団体の社員、LA(Learning Assistant)として授業に入る上級生、そして、同級生の4者からフィードバックを受けることも特徴に挙げられる。こうした教育目標と教育内容に接続させる形で、総合型選抜が設計されている。試験内容は3つの型で共通で、基礎能力検査(オンライン方式で受験する場合、調査書で代替)、プレゼンテーション、グループ面接、グループワークの4つ。プレゼンテーションにおいて発表を求める「ビジネスアイデアレポート」(事前提出)を3つの型に分け、人員を募集するという形だ。菊地氏は、各型の狙いを次のように説明する。「『SDGsプレゼン型』は、ビジネスは、関わる人がAll-Winとなる形式で社会課題の解決に資するべきという本学部の考えを背景に、自身のアイデアはSDGsに照らし合わせるとどこに関わっているのかをイメージするとともに、入学後、実際に取り組んでほしいという意図から設けている型です。ビジネスザイン学部長菊地昌弥 氏Case Studies桃山学院大学ビジネスデザイン学部(大阪府大阪市)では、2024年度入試より、総合型選抜を「SDGsプレゼン型」「探究・ビジコン活用型」「アトツギ型」という3つの型に分けて実施している。新たなビジネスを創造して社会課題を解決できる人材の育成を目指す同学部において、これら3つの型を設けた狙いや評価方法について、学部長である菊地昌弥教授に伺った。桃山学院大学は、1884年に英国国教会の宣教師が設立した学校をルーツとし、1959年に「キリスト教精神に基づく世界の市民の養成」を建学の理念に掲げて開学、現在は6学部を擁する大学である。2025年には系列の桃山学院教育大学を統合して人間教育学部を、2026年には初の理系学部である工学部(仮称)を設置予定だ。ビジネスデザイン学部は、2019年に経営学部ビジネスデザイン学科として始まり、2021年より学部となった。「多様な人々とともに新たなビジネスを創造することによって社会課題を解決できる人材の育成」を目標とし、そのための教育として、70を超える企業・団体と連携し、その社員とともに、卒業までにおよそ40の課題に取り組むという実践的なカリキュラムが組まれている。「多くの課題解決型授業に取り組みながら、段階的・継続的にリーダーシップと課題解決に必要な知識・スキル、そして、課題を発見するための手法を学び、最終的には、自ら課題を設定し、それを解決する新規ビジネスのプロトタイプを作る。そうして新たなビジネスを創ることができる人材を育成します」と菊地氏は説明する。04_桃山学院大学 ビジネスデザイン学部 総合型選抜探究授業×ビジネスに興味・関心を持つ人を対象に、3つの受験型の総合型選抜を設計

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