ン、例えば、裁判員制度を知るための時間に充てるなど自由に好きなことをしています。大切なのは、自分で考えて主体的に行動する学生に成長していくことです。最初は「どうやったらいいか分かりません」と言っている学生も、人と人との接点による環境や主体性を発揮できる機会を得て、自ら成長していきます。安田風に言うなら「相手の立場になって考えてみる」ということです。この言葉は折に触れて先生方にも伝えてもらっています。オリゼミは本学で45年以上続いている伝統行事で、毎年4~5月に新入生と先輩学生が2泊3日の合宿を行うグループ研修です。オリゼミを運営するのは主に2年生で、座談会、野外炊飯、キャンドルのつどい等のプログラムを半年以上かけて準備し、新入生に安田女子大学がどのような大学かを表現することで先輩も成長します。本学には、同じ時間と空間を共有することによって人間は成長するものであり、それこそが大学なんだという考えがあります。オリゼミはその後の大学生活にも大きく影響を及ぼすので、コロナ禍でも消毒など細心の注意のもとで開催しました。本学の退学率が0.6%と全国平均より低いのも、こうした取り組みが関係しているかもしれません。さらに本学は『就職の安田』の定評を頂いていますが、「安田女子大学の学生なら安心して採用できる」という評価を耳にすることがあります。何かを通して社会を見て人間関係を築いてきた成果として、相手の立場になって主体的に動ける卒業生達が、企業の信頼に応えてくれているのだと思います。せやま としお1949年生まれ1975年 広島大学医学部医学科卒業1990年 広島大学助教授1990年 放射線影響研究所放射線生物学部 1998年 放射線影響研究所放射線生物学部部長1999年 安田女子大学文学部教授兼保健センター長2007年 安田女子大学薬学部長兼薬学部薬学科長2009年 安田女子大学・安田女子短期大学学長補佐2010年 安田女子大学・安田女子短期大学学長 細胞生物学研究室長(現在に至る)何かを通して世の中や社会を見ていくわけですから、選択肢が多いというのは、その可能性を広げることだと我々は考えます。2003年の現代ビジネス学部設置以降、6つの学部を新設してきたのもそのためです。そして2025年4月、女子大学として日本初の理工学部(定員180名)を設置できるよう準備を進めています(設置構想中)。理工学部は3つの学科(生物科学科、情報科学科、建築学科)で構成され、理工学分野において女性が活躍する未来を切り拓こうとする本学の挑戦でもあります。設置の準備を進めていたところ、文科省「大学・高専機能強化支援事業」の存在を知り選定を受けることができました。「みんなで思った方向に進めてきたのは、間違いではなかったかもしれないね」と学内で話したものです。同時に2025年には、短大を発展的に四大化する予定です(設置構想中)。短大に唯一残る保育科を教育学部に移し、幼児教育学科を新設、児童教育学科との2学科体制とします。こうして2025年、本学は8学部18学科となります。折しも2025年は創立110周年に当たりますが、時代と社会の要請に応じてきた結果の、たまたま創立110周年だったと捉えています。学生と大学の接点をどうやって広く堅固なものにするか、これは大学が常に努力をしなければいけないところです。時代の変遷の中で、社会や学生、保護者の願いを成就するために我々が進むべき方向が、理工学部設置と短大の四大化でした。まず近未来においては、そこを焦点と定めて進んでいきます。 (文/能地泰代 撮影/滑 恵介)69女子大初の理工学部設置と短大の四大化
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