連携連携連携・協働連携携連連携71デジタルマインドとコミュニケーションスキルを兼備したビジネス実務人材とは授業で学んだ技術を実践し社会価値創出のメンタリティを体得する長とする「全学デジタル教育推進WG」である。日常的な業務で忙殺されやすいところ、企画戦略を司る組織を作ったことに意義が大きいという。「小規模短大ですから、潤沢に人がいるわけではありませんが、業務分掌としてデジタル教育推進に関する重要項目の議論や企画を行う組織を作ったことで、推進力が増したと思います」と秋山氏は話す。WGは現在、デジタル教育に必要な設備を含めた支援を教務委員会と連携して行っている。また、WGは滋賀県や地域、産業等の連携も行っている。カリキュラム設計、関連する連携先との協働・実習等受け入れの調整、授業アンケート等の収集、教育推進の評価・企画・提案といったサイクルを回す主体なのである。「今後さらに社会連携を深め、教育を高度化していきたい」と秋山氏は意気込む。事業の背景にはこうした社会ニーズの確実なトスアップがあるようだ。では、新学科の内容を見ていこう。「今後学生が生きていく社会では、DXは経営陣が考えていればいいという時代ではなくなる。現場でデジタルの意義を理解し、データ収集・処理・分析を行う人材でなければ、具体的に価値創出にデジタルを絡めることは難しいでしょう。本学が育成するのは、まさにこの、『実際に社会や顧客に価値創出を担う人材』そのものです。それは、短大が今まで育成してきた現場人材に時代に応じた付加価値を追加するということでもあります」と小山内氏は話す。それが、採択事業の掲げる「デジタルマインドとコミュニケーションスキルを兼備したビジネス実務人材」であり、デジタルの基本的な構造、コミュニケーションツールとして使えて、ヒューマンコミュニケーションもできる人材のことである。これからの時代はどんな領域でもデジタルと掛け合わせた価値創出が大前提となる。よって、滋賀短大は、特定の領域やエンジニアリング人材ではなく、広く社会に必要な現場人材を育成するということである。「テクノロジーを用いた教育において環境整備はとても大切です。事業採択の結果最新の設備を整えることができました」(小山内氏)。統計ソフトのインストール、デジタルコンテンツの編集が可能なスタジオ、外部とつないでオンライン授業を行う仕組み等を整備し、多くの開講科目においてDX実習室を活用したアクティブラーニングを実施できるようにした。育成人材像である「デジタルマインドとコミュニケーションスキルを兼備したビジネス実務人材」には、「データ収集・処理・分析力」「デジタル表現力」「コミュニケーション力」「問題解決力・実践力」といったスキルが必要で、それぞれを習得できる科目を設計し、そこに環境を掛け合わせて整えた状態だ。整備された環境でデータやデザインについて学んだ後は、「地域貢献演習Ⅰ・Ⅱ」「イベントプロデュース演習」といった科目で実践の経験を積むことができる。「授業で培った知識・技能を統合し、最終的に問題解決力に結びつける必要があります。社会実装の実際を経験し、活きて働く知識として修得してもらいたい」と小山内氏は述べる。また、「短大は短期教育機関なので、先輩から学ぶことがなかなか難しい。教員主導で設計し、システムとして動かさないと、狙った効果がなかなか現れない傾向があります」と補足する。だから、狙った人材育成のためには、一つひとつの科目が育成人材像の何に寄与するのか、隅々まで行き届いた教育設計とその主体を体制として構築することが肝要なのである。デザイン・アート・映像系の会社経営者でもある小笠原氏は、「実習中心で手を動かしながら考える機会が多く、学生が楽しんで取り組めている」と現状を述べる。楽しく学ぶことでもっとやってみたくなり、学んだ内容を実践したくなる。短大50周年のデザインを学生が手掛けたり、大津市の広報ビデオを制作したりする等、実践の場は学内外問わず、学生自身が開いていくポテンシャルがあるようだ。さらに「大津市のプロジェクトでは、市の課題は『若年層の人口が定着しないこと』でした。呼び込むには、来た後に定着リクルート カレッジマネジメント239 │Jan. - Mar. 2024「ビジネスコミュニケーション学科」における組織的な学修支援体制教学マネジメント委員会高等教育開発センター全学デジタル教育推進ワーキンググループ教務委員会支援組織滋賀県、大津市、滋賀県医師会、産業界、中小企業等ビジネスコミュニケーション学科
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