カレッジマネジメント239号
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78教育に力を入れる尼崎市のサポート体制市営住宅内にある公園の古い遊具を復活させるプロジェクト。地元の塗装店、ペンキメーカー等の協力を得て遊具に塗装して明るい公園を作った。大学が市役所に相談し、紹介されたNPO法人からの提案で実現した。つながり評価では学生の自己リポートのほか、学生個人に対して活動先からの評価も入ってくるのが大きな特徴。て5段階で自己評価する。評価数値から経験値の測定結果を見ることができる。もうひとつの「つながり評価」は学生自身の地域活動のリポートに、活動先の人の評価・フィードバックを加えたポートフォリオとして活動を記録できるもの。活動で学生と接した人は、5つの経験値指標ごとに5段階で評価し、コメントを書き込む。「活動先の人からの評価は全てが5点満点ということはありません。各学生は社会人から強み・弱みをしっかり指摘され、各人にフィードバックされます。いずれもスマートフォンのアプリで管理できるものになっていて、活動先の人もIDとパスワードで各学生に対する評価を書き込めるようになっています」このシステムはCOC+の際に開発され、地域活動の評価を可視化するシステムとしてS評価された。以来、システム内容も少しずつブラッシュアップを続けている。また、この評価システムは「つながりプロジェクト」だけでなく、インターンシップの評価でも使用する等、学生の多様な活動にも応用され、活動評価のフォーマットとして定着している。こうした評価システムも、地域活動の結果を有意義なものにする手助けになっている。リクルート カレッジマネジメント239 │ Jan. - Mar. 2024経験値教育のつながりプロジェクトで、安定した地域連携が実現しているが、こういった活動は大学の努力だけでは難しいことは大学関係者であれば想像がつく。つながりプロジェクトの良好な運営の理由について、「尼崎市の行政のおかげでもある」と大江氏は語る。「COCからパートナーを組んできた尼崎市は、前市長の時代から市民活動と教育に非常に力を入れてきました。市民活動を活発化することによって地域の活性化を図っていくという方針のおかげで、尼崎市にはNPOや地域活動に携わる方がとても多いのです。こういった方々がいるから、つながりプロジェクトや授業の非常勤講師等のお願いを快く受けて頂ける。学生と一緒に新しいことをやってみようという若い方もたくさんいる。こういった地域の土壌に助けられています」市民だけでなく、大学と市行政の関わりも多い。市から大学に「市民祭り」等のイベント協力のリクエスト依頼もあれば、大学から市につながりプロジェクトやインターンシップの連携先の相談もする。このような大学と市行政の連携をスムーズにするため、尼崎市は大学との窓口を「協働推進課」に一元化する。大学かCOC+の時から神戸大学と共に続けている「地域歴史遺産」のシンポジウム。阪神地区の日本酒の日本遺産認定や、尼崎城の城下町等をテーマに、地域の歴史を大学の知とつなげて発信している。図4 つながりプロジェクトの事例「公園カラフル大作戦!!」図5 連携がゆるやかに続く COC+の大学間のきずな地域連携で発展する大学 

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