79地域で必要とされるために。小さい活動でも、深く地域とつながるらの様々なリクエストを市役所内の関連部署に橋渡しすることで、大学と市政の迅速な連携に力を入れている。園田学園女子大学側では学外との連携の窓口を「社会連携部」が担当する。市からの相談のほか、大学への様々なリクエストに対応していくのだが、部の職員数は部長を入れて4人。「職員の数が非常に少ないので、部の運営は外部にも委託をしています。インターンシップ等を運営している地元のNPO法人にお手伝い頂いています。企業や地域とつないで頂く仕事でお力を借りています」社会連携部の取り組み自体が、既に地域連携のスタイルで成り立っている。日本の課題である少子化は同大学でも非常に大きな課題だ。特に阪神間は女子大学が多いエリアであり、近隣の大学においては学生募集停止や共学化等、様々な動きも目立っている。「園田学園女子大学では大きな方針として、もう一度大学と地域の関係をしっかり考えて、地域で必要とされる高等教育機関になりましょう、と教職員に伝えました。尼崎市は厳2023年からスタートしたSONODAオープンラボ。地域の人が大学の学部、学生や研究を知り、大学は地域の人と意見を交換する場として2カ月に一度のペースで開催。学内にバーベキューエリアも作り、より気軽な意見交換ができるような場づくりにも取り組む。「コロナで地域と大学との接点がなくなってしまった。もう一度学内に来て、知って頂くことから始めなければいけないと思っています」(大江氏)。しい予算の中、市民活動強化のひとつとして高校生の地域活動にも補助金を出していて、地域のためにチャレンジをしている高校生がたくさんいます。また、『みんなの尼崎大学』という市民大学があり、商店街の方が商学部、レストランのオーナーが食物栄養学部と名乗る等、どこでも先生どこでも生徒という形で、市内に様々な学びの場がある。市民や高校生が元気な尼崎市の中で、大学だからできることは何なのかを考えてみようと。そして高校生や市民の方々が『大学に行けばもっと面白いことができる』と思える大学にしていきたい」こうした市民とつながる場として開催されているのが、「地域歴史遺産」のシンポジウム(図5)と「SONODAオープンラボ」(図6)だ。「地域歴史遺産」のシンポジウムは、COC+のひょうご神戸プラットフォームの4校で実施していた分配のひとつで、COC+事業終了後も神戸大学とゆるやかにつながりながら、リカレント教育のひとつとして継続している。2010年から開催してきた「まちづくり解剖学」を2023年から「SONODAオープンラボ」として再開し、日常的に地域の課題を受け止めていく場としている。学生の取り組みや教員の研究の発表等を通じて市民が大学を知り、大学と交流できる場となっている。「コロナで大学を閉めていた分、市民と大学が少し離れてしまいました。まず学内に来て頂くというところからもう一度再スタートすることが大事だと考えています。そのうえで、市民と大学のマッチングによって『その活動にはこの先生の研究が役立つ』、『この地域の方と一緒に研究に取り組める』といった新しい何かを生み出していきたい」(大江氏)こうした市民との交流の場づくりや、つながりプロジェクトと評価システムを見ると、細やかで着実な地域連携を進めている印象を受ける。「本校には大学等連携推進法人や他大学との単位互換といった大きな仕組みはありませんが、新しい刺激がもらえるのであれば小さなことでも地域と共にできることをやっていきたいと考えています」リクルート カレッジマネジメント239 │ Jan. - Mar. 2024(文/木原昌子)図6 大学と地域がつながるSONODAオープンラボ
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