カレッジマネジメント239号
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 現場の実践知を体系化しプログラムの形に。多くの実践家が「教える側」「学ぶ側」に参加 「性暴力被害者支援看護職養成プログラム」「里親養育包括支援機関人材養成プログラム」「伴走型支援基礎講座」…。日本福祉大学リカレント教育事業部のホームページ(図1)には、医療・福祉などの分野の専門職・実践家を対象とした特徴的なプログラムが数多く掲載されている(表1)。年年年年年社会人マーケットの開拓を目指す取り組みに「定石」はない。そこでこの連載では、「兆し」となりうる先駆的な取り組みをレポートしていく。プログラム名性暴力被害者支援看護職(SANE)養成プログラム自治体やNPOなどで 支援に携わる実践者伴走型支援基礎講座里親養育包括支援(フォスタリング)機関人材 養成プログラム自治体や専門機関などで支援に携わる実践者障害児支援スペシャリスト 養成プログラム(基礎編) 保育士など障害児の保育に携わる実践者福祉現場とつくるリーダー育成プログラム ~はじめてのリーダー~主な対象看護師リアルタイム オンライン+対面オンデマンド+ 対面(希望者)オンデマンド+ 対面オンデマンド福祉施設リアルタイムオンライン+オンデマンド+対面職員表1 日本福祉大学の主な現職教育プログラム開講形式受講料(税込)開始年度暴力の構造や、被害者心理、法的根拠や当事者の社会的回復まで支援の対象とするプログラム。職業実践力育成プログラム(BP)。県との連携により安定的に受講者を確保し、23年から看護職以外を対象とする派生プログラムを展開。10万9960円20192万2022理論と教員のコーディネートによる先進的な実践例を組み合せたプログラム。希望者は連携先団体による対面でのワークショップを受講できる。2000円2023里親への養育支援から自立支援までを一貫して担う専門人材を養成する。20~22年度実施のプログラムでの実績を踏まえ23年度子ども家庭庁の公募事業に採択。無料保育現場や育児支援において多様な障害に対応するための知識・スキルを提供。文部科学省「成長分野における即戦力人材輩出に向けたリカレント教育推進事業」採択。「保育士等ステップアップ研修」での活用を想定3万円20237万2023提携社会福祉法人の現場リーダーが企画に参加し、その多くが講師も担う形でプログラムを開発。文部科学省「成長分野における即戦力人材輩出に向けたリカレント教育推進事業」採択。2000円 「伴走型支援基礎講座」をクリックすると、講師陣には、北九州市で多くのホームレスの自立を支援してきた奥田知志氏、精神障害の当事者の支援に取り組む浦河べてるの家・向谷地 生良氏…といったそうそうたる実践家が名を連ねている。他のプログラムも同様に、講師を務めるのは教員だけではなく、看護師、社会福祉法人の施設長、NPO法人や自治体のリーダーといった方々だ。いずれのプログラムにおいてもオンライン教育が活用されているが、特定の時間・場所に講師・受講者を拘束しなくともよいというそのメリットが活かされている。 日本福祉大学は、これらのプログラムを集約し、2024年に「現職教育」の拠点「日本福祉大学 FUKUSHI ACADEMY」を立ち上げる構想を持つという。「伴走型支援基礎講座」のプロ日本福祉大学 学長原田正樹氏内容・特徴受講者数54名22年度:417名23年度:224※841名※募集前※募集中※※2023年10月25日時点図1 2023年度にリニューアルされた 日本福祉大学リカレント教育事業のホームページ「FUKU+」80リクルート カレッジマネジメント239 │ Jan. - Mar. 2024日本福祉大学 『日本福祉大学 FUKUSHI ACADEMY』開設構想現場と協働し、既存の研究知で解決できない課題に向き合うプログラムを多数構築。それらを集約し、専門職が集うイノベーションの拠点づくりをめざすシリーズ リカレント教育最前線 ⑤

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