83グローバル教育とデータサイエンス教育す・人の意見を聞くということができないと、そこに存在していられない」と言い、とりわけコミュニケーション力が培われることに自信を見せる。成果が顕著な一方で、ゼミ教育の課題は「どのゼミであろうと、武蔵大学の卒業生はこれをきちんと学んでいる」という大学のメッセージを出しにくい点だと高橋学長はいう。「『ゼミの武蔵』の強さと裏・表みたいなもの」というこの課題の解決に向けて、2022年4月に「リベラルアーツ&サイエンス教育センター」を開設した。例えば人文学部の学生が横断ゼミをきっかけに経営学に興味を持ったとする。経済学部の科目の多くは他学部の学生にも開放されてはいるが、「経営学入門」のような基礎科目は経済学部の学生で定員が埋まり、実際に受講可能なのは学部の専門科目になってしまう。こうしたニーズに応えるため、いわゆる一般教養に加えて各学部学科の入門的な科目を揃え、自分の専門以外の基礎を学ぶことで、物事を幅広い視野で捉えられるようになることがリベラルアーツ&サイエンス教育センターの目的だ。「大学全体としての特徴を打ち出せる体系づくり」に向け、27年度に予定するカリキュラム改革の大きな柱の1つとして、さ武蔵大学生は、1年生から4年生まで、個性豊かなゼミナールの中から一つを選び、そこで4年間を過ごします。それは、同じ大学に通いながら、それぞれの学生が色や形の違う舟に乗り込むようなものです。しかし、色や形が違った舟に乗っても、「必ず通ったり、立ち寄らなくてはいけない」場所(必ず学ぶ3分野)があり、また時々下船して、「違う舟の人たちと交流したり、同じプロジェクトに取り組んだり」する機会(化学反応を起こす学びの場)も豊富にあります。このことが、ゼミナールという強い個性に染まりながらも、武蔵大学生としてのアイデンティを保ち、また専門知をベースとして専門知+総合知、協働力、実践力を兼ね備えたグローバルリーダーの育成につながっています。らに強化を図っていくという。近年、武蔵大学のグローバル教育は、「かなりいい形になってきた」と高橋学長は言う。ロンドン大学とのパラレルディグリープログラムを軸とする国際教養学部の2022年度開設、多様な留学プログラム、公用語を英語とした学内空間・MCV(Musashi Communication Village)などだ。次の重要課題としているのは「データサイエンス」だ。「『武蔵大学は、こういうデータサイエンス教育を受けた学生を卒業させます』と、外から見えるようなものにしたい」。また高橋学長は、統計学や数学は「語学力の弱さをカバーしやすい分野で、国際的にアドバンテージを出せる能力でもある」と位置づけている。「数学が嫌いな学生も多いのですが、そこを鍛えれば、もっと良さを発揮できると思いますし、国際社会で生きていく日本人の強さをつくることにもつながるので、しっかり取り組んでいきたいと思います」。(松村直樹/リアセックキャリア総合研究所)専門知+総合知化学反応を起こす学びの場多様な専門知がぶつかり合い、化学反応を起こすための教育どのゼミナールに所属しても必ず学ぶ3 分野多様な専門知を育む多彩なゼミナール武蔵大学の学びの特徴協働力実践力グローバル化の新たな展開データサイエンスの重要性増大ゼミナールで形成される多様な専門知人的交流、組織的・地域的・地球的な課題の解決に貢献しうるグローバルリーダー学部横断型ゼミナール・プロジェクトなどリベラルアーツ&サイエンス教育データサイエンス教育※1=経済学部+国際教養学部経済経営学専攻※2=人文学部+国際教養学部グローバルスタディーズ専攻本格的な少子化・高齢化社会の到来知の爆発・細分化どのゼミに入ろうかな?多様な専門知が化学反応を起こす多様な機会グローバル教育
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