カレッジマネジメント240号
15/95

50業務改革担当部署の設置コンサルタントへの業務委託業務改革の予算確保学内からの意見提案制度新たなシステムの導入教職協働チーム設置学内プロジェクト設置他大学との共同事務処理多様な人材が業務を担える工夫業務の外部委託部署ごとの所掌見直しICT化・DXフラット化一元集中化柔軟化15特集1業務の効率化や見直しはあまり進んでいるとは言えない。職員調査で、「コロナ禍で業務の効率化が進んだ」の肯定回答は36%、「業務のスクラップ・見直しが適宜実施されている」の肯定回答は28%であった。この5年ほどの間にどのような改革が行われたのかを把握するために事務局長に尋ねた結果が図5である。組織改革の中では「課題に応じたチーム制等の柔軟化」が最も行われており、次いで「一元集中化」が行われている。業務改革ではICT化・DX、部署ごとの所掌見直し、外部委託、フレックスタイム等の多様な人材が業務を担う工夫の順に実施されている。興味深いのは、実施率の高い取り組みほどその効果を実感していることである。業務は日常そのものであり、大きく変革するには障壁は少なくない。そのため可能なことから一つずつ取り組んでいるのではないかと考えられる。(%)90実施率8070606160504640302010組織改革実施した場合の「効果があった」の割合787563615652453321業務改革業務改革については、これまでの研究から明らかになった結果を紹介しておく。第一に、業務の多忙化が職員のキャリア展望や積極的な提案という行動に負の影響を与えている(両角2022)。第二に、部署や世代を超えたコミュニケーションの充実、部署間のシステム連携、マニュアル・引継ぎ等の組織学習をしている大学や人材や働き方の多様性が受け入れられている大学で業務のスクラップ・見直しが行われている(両角・王2023)。第三に、組織・業務改革の実現に影響がある要素として、事務局長の手腕の違いと教職協働が重要である。教員と職員の情報共有を行う会議が効果的に機能し、職員の意思決定へ参加が進んでいるほど、大きな改革が実現できている(両角2023)。なお、国立では事務組織の統括方法(事務局長制か担当理事制か)によって業務改革のやりやすさ等が異なる(両角・山田・高80696656584830146360575045473832取り組み4731図5        業務改革の実施率とその効果実感事務局長調査大学と人的資本経営業務の多忙化が職員のキャリア展望や積極的な提案という行動に負の影響業務をめぐる現状と課題

元のページ  ../index.html#15

このブックを見る