カレッジマネジメント240号
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19職員に期待される能力やスキルとは何か職員の行動指針は、多面的に事象を見つめ資源配分の最適化に努めること、データをもって拳証すること、業務の本質(目的)を理解すること。(本田)特集1であれば、どんな改革も進められると思っています。アジェンダ・プランナーとは、従来の枠組みの中にはない新しい企画を構想・提案し、執行部の理解・納得を引き出すことのできる人です。ポリシー・メーカーとは、新しい大学づくりにおいて、具体的な形を示して、ルールや組織文化を変え、牽引していける人です。そして大学改革を担う主軸こそが、われわれ大学職員だと思っています。教職協働を高度に実現しながら、全学を見渡して、経年や競合大学との比較で自大学の強み・弱み・課題を俯瞰的に把握しているのは、職員だからです。――職員に期待される能力やスキルにはどのようなものが考えられますか。このとき、どこが時代に適合していないのか、問題点なのかを見抜く力が大切です。意外と課題が何かが明確になっ鈴木 私は地方の小規模大学で募集広報に携わってきましたが、30歳前後の時を思い返すと、オープンキャンパスで150人の教室に5組程度しか参加者がおらず、本当に潰れるんじゃないかと思った経験があり、そこから危機意識が強くなっていきました。自分自身を企画型とか改革派とか意識したことはありませんが、改革を「やらざるを得ない」という感覚にずっと動かされてきたように思います。  鈴木 改革というと、何か「悪いものを直す」と勘違いしがちですが、もともとは良かったものが、時代変化とともに適合しなくなったので見直すということが改革なのだと思います。そう考えると、フルモデルチェンジでなくても、マイナーチェンジのアップデートという感覚でうまくいくこともあるように思います。ていないのに解決という手段に行こうとするので、本質から外れることが往々にしてあります。課題解決以上に、課題を発見できる力のほうが大事で、課題を的確に設定しないと正しい改革にはなりません。また上司から「違う」と言われて黙るような組織では、問題の本質にたどりつけません。正しい課題発見のためには、個々の職員がそれぞれの考えを自由に言える組織風土も大切だと思います。大きくは3つあり、①多面的に事象を見つめ資源配分の最適化に努めること、②データをもって拳証すること、③業務の本質(目的)を理解することです。特に前者の2点は職員の強みとしてやるべきことだと思います。職員は先生方と対峙することも多いですが、事実(ファクト)を知っているのはやはり職員なので、よりデータで強調すべきだといつも言っています。3点目については、業務の本質を理解するには、5W2Hに置き換えて考えたほうが良いのですが、大半の人が「何のために」を飛ばして「どのように、何をするか」に行ってしまう。鈴木さんもおっしゃったとおり、改革は改善の積み重ねでもあります。「何のために」は私の口癖でもあるのです岡田 大学改革を進める上でのボトルネックは、ひとえに不都合な真実です。学内各組織が避けたがるところに問題の本質があることが多い。解決に大きなパワーのいる課題というのはだいたいそこに尽きると思っています。特に大規模大学はその傾向が強いと思われ、われわれ職員は明確なデータ等の根拠を持って提案しないと一蹴されてしまいます。本田 吉武博通先生も言われているように、職員のレゾンデートルとは、学校法人の目的である教育、研究及び社会貢献の機能の最大化を図ることだと思います。その役割を果たすために職員の行動指針があり、この行動指針は能力・スキルに言い換えることができます。大学と人的資本経営

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