カレッジマネジメント240号
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02Case Studies福岡工業大学は、近年、受験生からの評価、就職率共に上昇し、九州の私立大学のなかで存在感を高めている。就職率はここ7年間、99.7~99.9%という高い水準を維持している。「ヒト・モノ・カネ」の全面にわたる継続的な改革が着実に成果を上げている同大学では、人的資本経営の観点ではどのような改革に取り組んでいるのだろうか。常務理事の山下剛氏、総務人事部長の松薗裕二氏に話を聞いた。「本学の経営の“ヒト”に関するところで言うと、まず職員が働きがいのある職場で気持ちよく働くということが大前提だと考えています。言い換えれば、全学的な改革は、学園の全教職員が同じ価値観を持って働くことが重要で、そのためには上司と部下のコミュニケーションの積み重ねによる意識の共有が大切だと考えております。中でも“ヒト”は最も重要な経営資源であり、本学における“学園の運営主体・経営主体は全教職員”との考えは、中期経営計画スター職員が気持ちよく働けることが大前提中間管理職の強化が重要課題事例28ト時(1998年)から変わるところはありません」(山下氏)大学の課題を「自分ごと」として捉え、主体的・能動的に動く職員の貢献もあって改革・改善が進み、「良い教育、良い学修環境、良い学生支援」を実現するための数々の取り組みは着実に成果を上げている。しかし、その一方で、民間企業出身の松薗氏は、職員の人事制度に関しては、まだまだアップデートの余地があると考えていた。そこで、2022~2026年の第9次中期経営計画(マスタープラン)では、「Society5.0の社会を生き抜く柔軟な組織・ひと作り」を柱の一つとして人事に関する改革に着手。その一つが年功要素と成果要素をミックスした事務職員新人事制度(2023年4月~)の構築だ。協定校であるタイのキングモンクット工科大学の協力で実施。グローバルマインド醸成や視野、あるいは普段交流がない部門のメンバー同士での相互理解が大きく深まったという。常務理事山下 剛 氏総務人事部長松薗裕二 氏2023年度FAST研修の様子福岡工業大学職員の満足度向上、意識の共有を図るため、評価・育成に関する人事改革を実施

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