カレッジマネジメント240号
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5444筑波大学が現地キャンパスを開設することで話題になったマレーシアは、2002~2021の間に高等教育は急拡大してきた。学位課程(学士・修士・博士)の在籍者数は28万人(2002年度)から78万人(2021年度)と約2倍半になった。きっかけは1996年私立高等教育機関法に基づく私立高等教育機関の設立が認められるようになったことだろう。1998年にはモナシュ大学マレーシア校が開学し、その後も海外大学の分校も増加してきた。制度としては、私立高等教育機関の設置は高等教育省、プログラムの実施についてはMQA(マレーシア資格機構)による暫定アクレディテーション実施結果に基づき、高等教育省が承認する。私立大学、大学カレッジ、私立カレッジと種別化されているが、一定基準(教員の学位、留学生最低比率等)を充たせば上位種校へ昇格が可能である。国内でのプログラムは外国大学の分校も含め全てMQAがすべて審査するが、国外に設置された分校については当該校からの申請がない限り審査されず、海外分校からの国内編入学は質保証の“抜け道”の可能性が高い。2007年の高等教育省による『国家高等教育戦略計画』ではマレーシアが優れた高等教育の国際的なハブへと転換するために、2020年までに高等教育機関における学生数の10%を留学生にするという目標が掲げられた。私立高等教育機関における留学生数を増やすことを戦略の一つマレーシア~東南アジアの人口増加国~―高等教育の国際的ハブを目指し、学生数の10%を留学生に【目標】2020年留学生10%達成、2025年留学生25万人2022年: 留学生数104,448万人 ①高等教育の国際的なハブへの転換②人口増加を背景にした私立大学の新設、海外大学の分校設置としている。2020年までに留学生10%達成、2025年までに25万人の留学生受入れが目標とされ、大学新設の条件に「留学生比率10%以上」が含まれているマレーシアは今日もなお人口が増加している若い国であるが、私立や海外教育機関を活用して高等教育をさらに拡大する想定であり、国民だけでなく留学生拡大の政策がとられている点は、留学生がもたらす外貨収入に加え、英国のような先進国、成熟国だけでなくとも優秀な人材を自国に集め産業発展を図ろうとしていている。英国国内で行われた調査結果をみると、「留学生が留学先を決める要因」のトップ3は以下のようになっている。a) 卒業後の就業機会Post-study work opportunities 90%b) ビザ取得までの時間と許可率Visa processing times/approval rates 90%日本への示唆「定員の2割が留学生」を目指した受け入れ体制、就労可能性提示が必要留学生比率:9.4%(2022)マレーシア<東南アジアの人口増加国>

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