カレッジマネジメント240号
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55徹底したグローバルからD&Iへ特集2留学生はなぜ日本を選ぶのか実績からして、国際的な知名度は高くなっていると言える。今後のターゲットエリアは、インド、中東、そしてアフリカだ。「現在のメインターゲットである東・東南アジア地域は、2050年には少子高齢化社会です。今後を見据えれば、若者が多く高等教育ニーズの高い新興国にプレゼンスを作る必要があります。また、旧宗主国との関係性が強い地域で募集を成功させるには、それなりに長期戦を覚悟しなければなりません。大学経営の観点で、世界のどこで何が起こっても学生が集められるダイバーシティケーションは大事です」と米山氏は述べる。既に該当地域からの留学生は多く、特にインドからの私費学部留学生数は日本全体で185名のうち61名がAPU生(2022年5月時点、APU調べ)。彼らに評価されているのは、図2にあるように、国際的な環境と質の高い教育だ。「インドでは勉強したことがどれだけの収入につながるかをシビアに見られますし、アフリカは生活費の奨学金がないことがネックとなる。こうした国別のニーズに細かく対応し、安心してAPUに来てもらえる環境を実現したいと考えています」。APUの次の展開は何か。「次は世界のトップ校に比肩できる本当の国際大学になることが目標です」と米山氏は述べる。具体的には、「ビジネスユニットを中心とした社会科学系の大学として、分野別でアジアの大学のトップ30を狙うこと」である。APUは2016年にAACSB認証を受けているが、そうした実績をフックに世界の大学との教育的交流をより深め、将来的にはAPUをハブにして教員と学生が世界の教育ネットワークのうえで勉強・研究できる世界観を見据える。また、前述した多様な卒業生の力を大学経営に取り込むことについては対応しきれておらず、喫緊の課題であるという。米山氏はこう説明する。「これまでは同年代の多様な若 ・ 様々な国の友達ができる・ グローバル化社会を生きていく中で、多様性を深く学び、インクルーシブな感覚を習得できること・ 国際社会を経験したいと思ったことが、APUを志望した理由の一つでした・ APUは多文化環境を備えた国際大学であり、新しい言語や文化等、多くのことを学ぶことができる・ 異文化を体験するための幅広い経験・ 留学は、授業で学べる知識だけでなく、「生き方」を学ぶためにも重要・ グローバルマインド、多様性の価値と重要性、多文化や対人スキルを追求し、伸ばすことができる者達を混ぜる教育を作ってきました。現在の環境は唯一無二かもしれませんが、これからもそれだけというのはダメでしょう。今後はより多彩な文脈で、多様な属性で、多様性をつきつめていく必要があります。それはまさに、日本社会全体で対応が遅れている領域、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)です。日本企業の活力を生む方策であるはずのD&Iは、未だに女性の社会参画という狭義の意味で使われていることが多いですが、本来は、企業に存在する多様な個が化学反応を起こしながら全体を活性化していくプロセス設計こそが肝要です。APUで手掛けている教育や卒業生達に、そのヒントがあるのではないかと私は思います」。APUでは社会人を中心としたターゲットを「ライフロング・ラーナー」と呼ぶ。年齢や社会経験が多様な人々が大学に参加する機会と場を多彩に作り、生涯学習の場としてAPUを位置づけると同時に、社会ニーズに即応した教育へ進化する。それは、単に18歳人口減少に対する打ち手というだけではない。「APUという場に社会の生きた課題を持ち込んでもらい、社会と大学を混ぜる教育を実現したいのです」。現在のAPUのコンセプトを社会に向けて広げるイメージで、これからの大学を創っていく。それが、APUが新たに掲げる “Leap Beyond Global”構想である。社会と大学を混ぜ、それによって社会を変えていくソーシャルインパクトの最大化。大学のダイバーシティを高めていくことで社会課題の解決を目指すことが今後のAPUの道筋なのだ。・ より広い観点で、国際的な問題を分析し、考えることができた・ グローバル思考が身についた・ 国際的な環境やネットワーキング・ 異文化理解できること・ オープンマインドとチャレンジ精神を得られた・ アクティブラーニング・ 専門性を高めるに当たって支援してくれる優れた教授陣・ 1年次には、国内外の学生が交流できるワークショップクラスがある・ 多言語スキルの開発、言語学習システムの充実APハウスの様子(文/鹿島 梓)授業風景APUを他の人に推薦したいですか?その理由を教えてください図2 卒業生アンケート2021より抜粋学生生活で良かった点を教えてください

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