カレッジマネジメント240号
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Case Studies356世界のファッション界で活躍する卒業生BUNKA式カリキュラムを世界で展開事例日本のファッション教育の先駆者として業界をリードしてきた文化服装学院。2023年に創立100年を迎え、現在もファッション業界のプロを目指す3500名が学ぶ。その人気は国内にとどまらず、東アジアを中心に世界中から約600名の留学生が集う(2023年度)。世界のBUNKAとして多くの留学生に選ばれる理由とは何なのか。事務局学生・広報部の渡井邦重氏に伺った。最も大きな理由は、「卒業生がグローバルに活躍していること」だと渡井氏は話す。コシノヒロコ、コシノジュンコ、高田賢三、山本耀司、NIGO等、世界を席巻するデザイナーを多く輩出してきた。これまでの卒業生は30万人以上にのぼり、今なおファッション業界を牽引し続けている。「海外で活躍する卒業生達の母校がBUNKAだったことをきっかけに本校について調べる中で、日本で最初のファッション専門学校であり、100年の歴史を持つ伝統校であること、その実績ゆえ豊かな業界とのネットワークを持つことを知り、それらが魅力と映ることが多いようです。また、卒業した後もSNS等を通じて国内外で卒業生のコミュニティーが形成され、仕事のチャンスが広がることも。在学中だけでなく、卒業後も世界で生きる人的ネットワークは資産だと思います」。名だたる卒業生を輩出してきた当校だが、意外にも入学者の9割が服作りの初心者だという。「0からのスタートでも、卒業時には業界で通用する技術が身につくことも、学生から高い支持を得ている点です。技術、知識を深いレベルで身につけられる独自のカリキュラム、地上20階・地下1階建ての広大な校舎には、技術を磨く専門施設が充実しています。さらに多彩な講師による授業では、基礎から業界の最先端まで学べるといった教育環境はBUNKAならではです」。世界のファッションスクールランキングで、英国のセントラル・セント・マーチンズをはじめとする海外の名門校に比肩する高い評価を得ているのが、その証左になろう。クラス担任制をとっているのも、初心者を一人前に育てる重要な仕掛けだ。「一人ひとりに向き合い、基礎からじっくり教えます。教育面だけでなく、他国で生活すること自体に不安が大きい留学生の生活面もサポートし、学業に集中できるよう卒業まで伴走しています」。留学生を惹きつける学校の魅力は先述の通りだが、学園としても留学生受入れには積極的だ。一番多い時で、留学生の在校生に占める割合は25%に達していたという。留学生獲得の仕組みの一つが、中国の提携校経由による編入だ。「中国の提携校2校で、『BUNKA式』と呼ばれる、独自の平面作図方法と製図理論をベースに服作りの技術を教えています。基礎を現地で学んだ後、応用は日本で学ぶために編入する学生を毎年迎えています。学生の国際交流の黎明期だった約20年前から始めた取り組みで、BUNKA式を海外で展開するために教員を育成して派遣してきました」。学生が日本で学ぶ際、大きな障壁となる日本語の問題をクリアする術を持っているのも強みだ。「同法人の文化外国語専門学校経由で入学する留学生が、毎年50名前後います。専門学校生は、在留資格を得るために日本語能力検定2級以上の取得が必要。まずは日本語学校で学んだ後に、専門性を高めたいと進学する留学生が圧倒的に多いため、事務局学生・広報部渡井邦重 氏文化服装学院国際的に活躍する卒業生と教育の海外展開が叶えるファッション教育のグローバリゼーション

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