カレッジマネジメント240号
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1260Contribution(1)基本的な考え方寄稿昨年4月27日に、内閣総理大臣を議長とする教育未来創造会議において、第二次提言「未来を創造する若者の留学促進イニシアティブ(J-MIRAI:Japan-Mobility and Internationalisation: Re-engaging and Accelerating Initiative for future generations)」が取りまとめられた。本稿では、このJ-MIRAIの概要とその後の具体化に向けた施策の動向等について紹介する。教育未来創造会議は、内閣総理大臣を議長、内閣官房長官及び文部科学大臣兼教育未来創造担当大臣を議長代理とし、法務大臣、外務大臣、財務大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、経済産業大臣、国土交通大臣、環境大臣と13名の有識者を構成員としている。本会議の特徴としては、従来設けられていた教育再生実行会議と異なり、文部科学大臣に加え関係各省の大臣がメンバーとして位置付けられることにより、政府横断的な政策の在り方が議論される構造となっていることにある。このような背景の下、J-MIRAIの策定に当たっては、留学生支援や大学の国際化といった教育振興の視点だけでなく、在留資格や国際交流、留学生の就職支援まで幅広い視点から検討が行われた。留学生に関する計画は、これまで様々な政府文書で示されてきた。留学生受入れに関しては、1983年に「留学生受入れ10万人計画」が示され、また2008年には「留学生30万人計画」において、2020年を目途に留学生30万人を目指すことが示されるとともに、外国人留学生の定着については、2016年6月に閣議決定された「日本再興戦略2016」において、外国人留学生の国内での就職率を3割から5割にすることが目標として掲げられた。一方、日本人学生の海外派遣については、2013年6月に閣議決定された「日本再興戦略-Japan is Back-」において、2020年までに日本人留学生を6万人から12万人に倍増することが示されるとともに、同月の閣議決定「第二期教育振興基本計画」において、高校生について、2020年までに海外留学生を3万人から6万人へと倍増することが掲げられた。J-MIRAIは、これまでの計画等の進捗や検証を踏まえつつ、コロナ後のグローバル社会を見据えた人への投資の在り方について検討を行い、これらの計画に次ぐ新たな留学生派遣・受入れ計画として策定された。J-MIRAIでは、基本的な考え方として、①「成長と分配の平成14年に文部科学省入省。学校耐震化・老朽化対策、教科書検定・採択、高校教育改革、大学改革などの業務に携わった後、平成31年より2年間、岡山県教育庁で勤務。令和3年より内閣官房教育未来創造会議担当室企画官。令和5年9月より現職。文部科学省高等教育局企画官(併)高等教育政策室長はじめにJ-MIRAIの内容高見英樹 氏教育未来創造会議第二次提言「未来を創造する若者の留学促進イニシアティブ(J-MIRAI)」について

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