カレッジマネジメント240号
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3463(1)「せかい×まなびのプラン」の策定(2)令和6年度予算案特集2留学生はなぜ日本を選ぶのか在留資格「留学」の付与停止、私学助成の厳格な対応、留学生数等の情報公開の強化等を図ることが示された。第二に、外国人留学生の定着に向けて、①留学生の就職促進に向けた取組促進として、地域の特性に応じたインターンシップ機会の提供等による外国人留学生等の地元企業への就職・定着支援を行う「高度外国人材活躍地域コンソーシアム」の設立、「高度外国人材活躍促進プラットフォーム」における中小・中堅企業の外国人材の受入れに係る課題解決に向けた伴走型支援の実施、②受入れ企業側における企業風土の改善、環境の充実として、企業での採用方針の明確化、社内制度の見直し、採用方針・実績の公表等の促進、③関連する在留資格制度の改善として、特別高度人材制度及び特定活動における未来創造人材制度の創設、質の高い専門学校の認定制度の創設、その卒業者等の在留資格の運用見直しを図ることとされた。第三に、教育の国際化については、①国内大学等の国際化として、海外大学とのジョイント・ディグリー及びダブル・ディグリーや単位互換、大学間交流協定締結の促進、高度で専門的な知識や経験を有する「アドミニストレータ職」等の採用・育成の促進、徹底した国際化やグローバル人材育成に大学が継続的に取り組むような環境整備、国際化を先導する大学の認定制度の創設、②外国人材の活躍に向けた教育環境整備として、国際的な中等教育機関の整備推進・運営支援、学校教育を受ける際に困難を有する外国人児童・生徒への支援強化、日本語教育機関の認定制度創設等による質の維持・向上等が掲げられている。J-MIRAIやG7教育大臣会合で昨年5月に合意された「富山・金沢宣言」を踏まえ、文部科学省において、同年8月、今後のグローバル人材育成のための政策パッケージとして、「せかい×まなびのプラン」が取りまとめられた。この中では、世界と日本・地域を結ぶ「大学」の国際拠点化の推進、産官学を挙げた高校・大学段階の留学支援強化、G7、ASEAN等重点地域との戦略的連携強化、国際頭脳循環の促進、戦略的な国際展開のための情報収集・留学生誘※未来を創造する若者の留学促進イニシアティブ(第二次提言)の本文・概要・参考資料、パンフレット(英語版あり)や工程表の概要及び本文は以下のページ参照。https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kyouikumirai/teigen.html致機能強化等が重点施策として示された。上記に掲げる動向等を踏まえ、文部科学省においては、令和6年度予算案として、日本人学生の海外派遣拡大のための給付型奨学金の拡充等に取り組むとともに、戦略的な留学生受入れのための情報収集・分析や国内外における関係機関との連携を通じた日本留学に関する情報発信の強化、「日本留学促進のための海外ネットワーク機能強化事業」や外国人留学生向けの奨学金の重点的拡充、「留学生就職促進プログラム」の活用等を通じて、優秀な外国人留学生の戦略的な受入れを促進することとしている。また、大学の国際化を一層進めるため、国内外での国際共修のための体制の構築により、留学生交流の拡大を図る「大学の国際化によるソーシャルインパクト創出支援事業」を新たに立ち上げるとともに、戦略的に重要な国・地域との間で、質保証を伴った学生交流等を推進する国際教育連携やネットワーク形成の取組を支援する「大学の世界展開力強化事業」を通じて、大学教育のグローバル展開力の強化を図ることとしている。J-MIRAIで示された具体的取組は94項目あり、その中には、直ちに取り組めるものから中長期的に取り組む必要があるものまで掲げられているが、これらを実効あるものとするため、昨年9月には工程表が策定された。紙面の都合上、これらに掲げた全ての施策について触れることはできなかったが、上記3に掲げた施策だけでなく、関係各省においても制度改正や予算事業等を通じて様々な視点から取組が進められる予定であり、各高等教育機関の関係者におかれては、これらの政策動向にも留意頂きながら、更なる留学生の受入れ・定着に向けた取組を進めて頂きたい。文部科学省における施策の動向おわりに

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