カレッジマネジメント240号
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2365特集2留学生はなぜ日本を選ぶのか・自治体や企業等との連携による外国人留学生の定着支援・海外拠点等を活用した教育活動の展開等、日本の大学のカリキュラムの国際化や、外国人留学生が日本社会で共生しやすい仕組みの構築を目指す。優秀な外国人留学生の受け入れを推進するためには、日本の大学の魅力の向上が重要であり、併せて、外国人留学生のリクルーティング機能の強化や奨学金の戦略的な活用、国内定着等を一体的に進めることが求められる。ここでは、令和6(2024)年度予算案のうち、新たに実施する事業を中心に紹介する。大学の国際化によるソーシャルインパクト創出支援事業優秀な外国人留学生を獲得するには、その受け入れの基盤となる大学の国際化を図っていくことが不可欠である。文部科学省では、2014年度から「スーパーグローバル大学創成支援事業」として、国際化に取り組む大学の支援を実施し、英語による授業の実施等、外国人留学生が日本の大学で学びやすい体制の整備が行われてきた。一方で、外国人留学生と日本人学生が共に学ぶ環境が十分でない等、一定程度国際化が進んだがゆえに顕在化した課題もあり、これらに対応し、日本の大学のさらなる国際化を推進するため、2024年度から「大学の国際化によるソーシャルインパクト創出支援事業」を開始する。この事業では、外国人留学生と日本人学生が共に学ぶ国内外での共修のための体制の構築を通じ、・地域社会との連携による共修科目の提供、自治体や地元企業との連携による定着支援このほか、大学の国際化の推進については、「大学の世界展開力強化事業」において、わが国にとって重要な国・地域の大学と、質保証を伴った連携・大学間交流を戦略的に進めているが、2024年度からは、EU諸国との質の高い単位互換プログラムを構築するとともに、ASEAN諸国との学生交流の拡充を図る。文部科学省では、これまで「日本留学海外拠点連携推進※より詳細な情報はこちら事業」を通じて、日本留学に関する情報発信やイベントの実施等、リクルーティングから帰国後のフォローアップまでを一体的に促進してきた。「日本留学促進のための海外ネットワーク機能強化事業」では、これまでの取り組みの成果を踏まえつつ、ASEANやインド等の重点国・地域の拠点機能の強化を図る。具体的には、留学フェア等の開催数の大幅増に加え、現地での高校訪問等、高校段階からのアプローチの強化、在外公館や国際協力機構(JICA)、日本貿易振興機構(JETRO)等の関係機関、企業との連携を強化し、日本留学の魅力発信及び日本での就職・キャリアプランも含めた広報の強化を図っていく。当該事業のほか、留学生交流推進のナショナルセンターである(独)日本学生支援機構(JASSO)に、諸外国の留学生交流をめぐる動向やデータ等、留学生交流推進のための情報収集・戦略立案を行う部署を新たに設置し、日本の大学が戦略的なリクルーティング活動を展開するための支援体制を構築する。このほか、「国費外国人留学生制度」や「留学生受け入れ促進プログラム(学習奨励費)」による戦略的な支援や、「留学生就職促進プログラム」により、外国人留学生が国内企業に就職するにあたって効果的とされる日本語教育、キャリア教育、インターンシップからなる教育プログラムの提供等を推進する。世界から優秀な学生を受け入れるためには、前述の取り組み(大学の国際化、戦略的な留学生の受け入れ)に加え、日本人の海外留学を推進して日本人学生の海外大学でのプレゼンスを高め、これらが相互に作用する好循環を創出することが重要である。文部科学省においては、さらに、初等中等教育段階からの国際理解増進や英語力強化、また大学における国際的な研究連携等も含め、関連施策を総合的に推進することにより、わが国の大学の活性化と持続的な成長を目指したい。日本留学促進のための海外ネットワーク機能強化事業及び日本学生支援機構の機能強化外国人留学生の受け入れに関する令和6年度予算案についておわりに

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