カレッジマネジメント240号
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割合(%)環境/SDGsファシリテーション技術政策ディスカッション土木関連法律情報ネットワークリモートセンシング数値シミュレーションプログラミング土木史土木施工水文学水利用学都市/農村計画学農地工学鉄筋コンクリート工学測量学・実習土壌物理学土質力学水理学応用力学地形・地質学生物・生態学数学 社会と直結した学びで学生に「行動する力」を身につけさせる改革の切り口で独自性を立たせ、将来につながる大学づくりへ70リクルート カレッジマネジメント240 │Apr. - Jun. 2024が多そうだ。岡島氏は、「大学内で、研究室単位でつながっているところや用いている機材等を共通のプラットフォームにし、学内での利活用を拡大していく動きでもあります。『FITS.Lab.』という場があるからこそ、参加者が同じ認識に立って横断・共創することができるようになれば」と話す。特に教員の研究領域で今以上に交流と横断・共創が起こることを期待したいという。「社会課題を学生により身近に感じさせる体制にしたい」、いずれは大学をデジタルやモノづくりの地域拠点としていくために、まずは学内の交流からである。見てきた通り、三重大学は単に学ぶだけでなく、社会への価値創出に拘っているように見受けられる。冒頭に挙げた大学として養成を目指す「生きる力」、特に「行動する力」において、実際に大学から地域に出ていき、具体的な課題解決や価値創出に投じることを重んじているという。岡島氏は「特に農業や工学系は出口分野と直結した学びで共同研究も多く、授業に実践家を呼ぶ機会もあるため、業界や社会との情報交換は密に行っています」と話す。業界や地域社会のニーズを酌み、教育に反映させることが日常化している。今回の採択による教育環境整備は、理論と実践の循環をまわすための産学連携・共創拠点整備とも言い換えられるのだ。「FITS.Lab.」を拠点に社会に出ていくことでDX技術と活用のスタンスを習得し、さらなる地域課題解決に貢献する。こうした人材育成拠点としての教育効果を測定するため、9080706050403020100これからも『継続的』に学習してほしい科目これから『新た』に学習してほしい科目「DX推進の意義を説明できる学生の割合(目標:95%以上)」「デジタルスキルに関する課題の合格割合(目標:95%以上)」といった項目について調査し、本事業の達成度を評価・検証する。また、その結果をもとに補助期間終了後も持続的な教育改善に取り組む予定である。なお、こうした価値創出の軸足は地域の実課題や実データに基づくリサーチとし、三重県内の課題解決に資する三重大学というスタンスを明確にするというのが、現在大学が掲げる「イノベーション・コモンズとしての三重大学の実現」だ。こうしたビジョンに基づき分野横断的な教育研究、地域課題解決が推進されているという。こうした動きは学長のリーダーシップを中心とするもので、大学としての今後を見据えた独自性の開発でもある。「分野横断を推進することで教員間の研究交流ができて、それがつながって新しい学内プロジェクトになり、その取り組みの場を大学が作って、支援されたものが新たな大学の強みとなっていく。常に強みを開発しながら学外の補助金等を狙っていくという仕組みを、学長リーダーシップのもと作っているのです」と岡島氏は述べる。毎年のように学内で「何を外に出していくか」の協議があり、選考がある。そこで選考されるのが一番大変でもあるという。しかし、こうした動きが常にあるからこそ、迅速な意思決定や継続的な改革が可能となり、共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)をはじめとした大型予算の獲得につながっている(文/鹿島 梓)のであろう。 図2 申請時の関連産官民37社への要望調査結果DX関連科目

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