カレッジマネジメント240号
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①②③76工学院大学では2021年度入試より総合型選抜「探究成果活用型選抜」を導入し、文部科学省「令和4年度大学入学者選抜における好事例集」にも選ばれている。その趣旨や現状について、田中祥貴入試広報部次長にお話を伺った。本入試の検討が始まったのは2018年頃。国が進める新入試変更のタイミングに合わせたものだという。学力の3要素評価、多面的・総合的評価といった方向性を大学としてどう実現するのか。検討素地となったのは、同大学が続けてきた高大連携活動だった。田中氏は、「本学はSSH校との連携を強化しており、研究発表会の会場提供や研究支援等を通じて、情報交換も日々行っています」と話す。探究活動に注力する高校と協働する機会が多いため、「高校教育と大学教育がシームレスにつながると、当然進路選高等学校もしくは中等教育学校を2024年3月卒業見込みの方理数系分野に興味を持ち、教科学習および総合的な学習の時間などにおいてテーマ設定をして探究活動を行い、学内外の研究発表会や成果報告会等で発表経験のある方その経験や成果を活かし、大学進学後も学科の専門分野を学びながら、技術者・研究者を目指す意欲がある方基礎学力調査探究活動書類審査(報告書・志望理由書・調査書)選考方法:内容・出題範囲数学(50分)英語(40分) 数学Ⅰ(全範囲)、数学Ⅱ(全範囲)、数学A(全範囲)、数学B(「数列」「ベクトル」) 英語(コミュニケーション英語Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、英語表現Ⅰ・Ⅱ)探究活動に関するプレゼンテーション、面接(口頭試問を含む)内容:探究活動の内容、探究活動から学んだことについて簡潔に説明すること時間:プレゼンテーション(10分程度)終了後、質疑応答(5~10分程度)を行う方法:ポスター、プレゼンテーション用スライド等を使用し、口頭で発表すること選考方法択におけるメリットが大きいことが分かっています。本学をより深く理解している志願者を確保でき、ミスマッチを防ぐという意義もある。双方にメリットが大きいため、本学の事業計画のなかでも、SSH校との連携強化が挙がっています」。高校が取り組む探究に寄り添うことで、大学教育のカレッジレディネスとしても期待したい。そのために、「高校にはない施設設備を使えるようにしたり、専門的なアドバイスで思考レイヤーを引き上げたり、対外的な発表機会を設けたりといった『伴走』のスタンスで、大学だからこそできる支援を実施しています」(田中氏)。こうした姿勢を端的に示すキーワードが、同大学が掲げる「中高大院連携教育」である。その名の通り、中等教育から大学院教育までをシームレスにつなぐ形で、生徒を真ん中に置いた連携ができないかを模索している。大学が保有する理工学に関わる教育資源を活用して、学校教育現場での声を反映しつつ、教育支援や交流活動を展開してい入試広報部 次長田中祥貴 氏得点100点100点図 探究成果活用型選抜 概観●出願資格●第一次選考●第二次選考入試は社会へのメッセージSSH校との高大連携活動を新入試のベースに置く事例report 工学院大学 探究成果活用型選抜 探究学習への伴走とポリシーの接続で学修者本位の教育を実現する

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