カレッジマネジメント240号
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79年に150以上の大学連携事業こうして誘致した6大学と区政・区民との連携を戦略的に担っているのは、足立区のシティプロモーション課の大学連携担当だ。課長の栗木氏は、足立区は街の価値を上げるために大学連携を非常に重視している、と語る。「2005年の新都心構想によって、足立区は文教都市を目指してきました。大学が街に来ると、若い人達も街に循環し、活性化する。それだけでなく、足立区に住む子ども達と大学を繋げることで教育的な効果が生まれることも期待してきました。足立区は貧困対策も進めていますが、子どもの周りに大学に行っている大人がいない、という環境も珍しくありません。大学生の姿に接する機会が増えれば、大学生活への憧れを持ち、自分も大学に行きたいと考えるようになり、学習意欲の向上にも期待できるでしょう。こうした子ども達の選択の幅を広げるという意味でも、大学を誘致し、連携を図ることは重要だと考えてきました」。シティプロモーション課には区内外への広報的な役割を担うチームもあり、それぞれに係長が1名いるが、大学連携のチームには二人の係長が配置されている。「それだけ力を入れているということです」(栗木氏)。足立区と大学との連携は主に6つのセクションに集約して進められている。192197131962年度3年度4年度令和元年度「令和4年度六大学連携事業統計」 より①就学前の子ども達向け②小学生向け③中学生向け④文化芸術系⑤企業との連携⑥生涯学習それぞれの事業内容に合わせて、青少年課や教育委員会事務局、地域文化課等に運営を託していく。シティプロモーション課の大学連携チームの2名の係長は、これらの事業の大学との連絡窓口として数々の事業の調整を一手に引き受ける。大学連携の窓口がシティプロモーション課に集約されていることで、具体的な事業以外にも、区の活動の評価委員会で学識ある先生への参加オファーといった大学への依頼等も全て二人の係長が担当する。「大学連携の窓口がシティプロモーション課に集約されていることで、現状で動いている連携事業を全て把握することができるのがメリットですね」(栗木氏)。こうした体制のなかで生み出される大学連携の事業の数は2022年度で153件。新型コロナ発生前は200近くの事業が動いていたという(図1)。連携事業の半数を占めるのが、区民を対象としたイベントや講座だ。これらは区の予算によって、多くが無料で区民に提供されている。足立区内の6大学は、芸術系や技術系等、リクルート カレッジマネジメント240 │ Apr. - Jun. 2024調査研究7事業 5%(3事業)153事業周知10事業 7%(5事業)実習生受入7事業 5%(3事業)企業等連携3事業 2%(7事業)会議17事業 11%(13事業)委員25事業16%(38事業)講座39事業25%(33事業)「令和4年度六大学連携事業統計」 より※( ):令和3年度実績イベント45事業29%(29事業)事業数200190183180170159160149150141140大学連携コーディネートをスタート130120110新型コロナウイルスの影響による減10090平成26年度27年度28年度29年度30年度足立区が大学と連携して推進してきた事業数は2019年は約200にのぼる。その多くが区民向けのイベントや講座だ。6大学との連携事業図1 足立区の大学連携事業数と事業の内訳令和4年度 分野別事業数・割合

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