カレッジマネジメント240号
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806大学学長と区長が一堂に会する「六大学学長会議」2009年から年1回開催されている「学長会議」。区内にキャンパスを置く6大学(放送大学、東京藝術大学、東京未来大学、帝京科学大学、東京電機大学、文教大学)の学長と足立区長が一堂に会し、区と大学及び大学間の連携について意見交換を行っている。(写真は2022年開催のもの)強みとする学問分野がそれぞれ異なるので、バリエーションに富んだイベントや講座を区民に提供できるのも特徴だ。講座の一部を見てみると、全区民を対象とした「だれでもピアノ体験講座」(東京藝術大学)、「ハッピーエイジングの心理学」(東京未来大学)、「情報セキュリティの課題と対策」(東京電機大学)、「これからの時代を生きる子どもを育てるヒント」(放送大学)や、「外国にルーツを持つ子どもたちの支援」(文教大学)、「ヒトとウイルス深くて長いつながり」(帝京科学大学)等、多様なラインアップとなっている。こういった足立区の大学連携を強固にしているのが、毎年8月頃に行われる「六大学学長会議」(図2)だ。足立区が大学誘致に力を入れている最中の2009年に発足し、今年で16年目を迎える。区内6大学の学長、学部長及び大学の教授並びに区長、教育長といった、教育・地域に関わるステークホルダー約70名が一堂に会し、大学と地域の連携について話し合う場があることだけでも通常ではなかなかハードルが高い。それを誘致の早い段階から区政の一つとして盛り込んできた。「6つの大学の学長が全員揃うことは、本当に貴重な機会だと思っています。他の自治体で大学連携を推進するとこリクルート カレッジマネジメント240 │ Apr. - Jun. 2024ムジタンツ(東京藝術大学)ムジタンツは音楽とダンスを融合させた「あそび」と「まなび」のワークショップ。スタジオで子ども達がムジタンツを体験している間、保護者は子どもたちの様子を別室でモニタリングしながら子どもの成長や非認知能力等について先生の解説と共に学ぶ。ろでも、1年に1回全員で会う場をつくることは本当に難しいのですが、この足並みを揃えようとする姿勢こそが重要だと思っています」(栗木氏)。この学長会議で生まれたアイデアもある。そのひとつが「6大学リレー企画」(図3)。これまでの事業は区が前述の6つのセクションの区民サービスを意識して進めてきたが、リレー企画は大学と共催で講座の企画を考えていこうというものだ。「六大学学長会議での東京電機大学学長の発案で、せっかく6大学が集まるのだからみんなでできることをやりませんか?と。その場で皆さんがいいね、となりスタートしました。毎年3大学ずつ企画しています」(栗木氏)。リレー企画では文教大学の「ドローン体験」や東京藝術大学の「ムジタンツ」といった大学の最先端の知識や学びをつめこんだ自由な発想でつくられた講座やイベントが生まれ、区民にも人気が高い。特に「ドローン体験」では小学生の親子40組を募集したところ、1000組を超える申し込みがあったそうだ。また、学長会議で大学間の学生の交流を推進していこうという発案があり、2023年から各大学祭実行委員を集めた情報交換会(図4)もスタート。区長と6大学が話し合う場があることで地域の大学が足並みを揃え、大学を超えた活動がスピード感を持って実現する土壌が培われている。小学生向けの講座「プログラミングでドローンをとばそう!!」文教大学との共催で行った子ども向けのワークショップ。当初の想定を大幅に超える応募が集まる大人気イベントとなった。図2 六大学学長会議図3 6大学のリレー企画地域連携で発展する大学 

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