カレッジマネジメント240号
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81六大学学長会議を支える実務者会議区の目標は「区民が大学を身近に感じること」学長会議で各大学の学生同士のつながり創出が話題となって生まれた「大学祭実行委員」の情報交換会。各大学の学祭の実行委員同士の交流の場となり、大学を超えた学生達の活動の広がりに期待がかかる。「足立区としてはこうした新しい事業が生まれることに加え、6つの大学と等しく連携をしていることを対外的にアピールできることも大きなメリットになっています」(栗木氏)。六大学学長会議は年に1度の開催だが、この会議を支えているのが、年3回の実務者会議だ。大学の事務局等実務担当者を集めるこの会議は、六大学学長会議の準備と総括も担っている。各大学から実務担当者3~5名が集まり、実質的な意見交換を通じて、コミュニケーションを深める場になっているという。「年3回の会議のおかげで関係性を絶やさない好循環が生まれています。大学の担当者も実務者会議で他の大学の事情を知ることができる良い機会になっているようです。こういう機会がなければ、皆さんも普段他大学の担当者と会うこともないわけです。区が大学間のコミュニケーションを主導することで有意義な繋がりが生まれていると感じています」(栗木氏)。足立区は大学ゼロから6つの大学の誘致成功を通じて文教都市を目指してきた。学生の人口が増えるといった実質的な変化も大事だが、シティプロモーション課としては区民意識をKPIに置いている。図5にもあるように「足立区にある6つの大学を身近に感じたり、親しみを感じることがあるか」という項目を重点指標に設定。2023年は約半数の区民が大学に親しみを感じているという結果が出ている。「区民が自分達の生活のなかで大学を身近に感じてもらう。これが足立区の大学連携の最終目標だと考えています。昔は大学は閉じられた特別な場、と思われていましたが、今は地域に門戸を開いている、という印象に変わりつつあると感じています。何より、地域に大学を受け入れてくれた区民の皆さんにきちんとサービスを提供することがお返しになる。ひいては大学の皆さんにとってもメリットになっていければと思っています。老若男女問わず、皆さんが地域の大学を自分の大学だと思うぐらいに連携が深められた時に、この事業は成功と言えると思っています」(栗木氏)。講座やイベントで大学のキャンパスに足を踏み入れる機会が日常的に存在するすることで、区民の生活が向上する。区民が大学に関心を持つことで、大学が愛され、そこに存在する意義が深まる。足立区の連携事業はその価値を共に高めるエンジンとなる部分を担っていると言えそうだ。足立区にある6つの大学を身近に感じたり、親しみを感じることがあるか(アンケート数3440件)リクルート カレッジマネジメント240 │ Apr. - Jun. 2024未回答7.1%感じる18.3%感じない17.2%どちらかといえばどちらかといえば感じる33.3%感じない24.1%「区民ニーズアンケート統計」 より(文/木原昌子)図4 大学祭実行委員の情報交換会図5 事業の重点指標親しみを感じる割合51.6%

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