カレッジマネジメント240号
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85キャリア支援は、就職、起業、フリー、進学かの選択から自分に目覚めた結果、活発化する大学発ベンチャーでも、ギリシャ神話の様々な物語とか、世界の宗教とかを紐解きたくなり、そこで初めて、いわゆる『知』の引き出しが少ないことに気づき、世界に対するリベラルアーツ的な関心が、自分の制作的な欲望と結びついて立ち上がってくるのです」(池谷氏)。ただ順序に工夫があるだけで、履修を促すことは特にしていないが、教養科目の人気は非常に高いという。キャリアセンター長の座間味 涼子氏は、キャリア支援は「どこの企業に就職するか」ではなく、「企業に就職か、起業か、フリーになるか、進学かという選択が第一歩」と、1年次から多様なキャリアパスを示している。「就職課ではなく、キャリアの支援」というスタンスが明確だ。その上で、就職においては株式会社立の大学であることが強く作用していると言う。「様々な繋がりがあるため、企業との接点が非常に多いのが特徴です。キャリアセンターだけでなく、産学官連携部署、大学以外のオンラインスクールや専門スクール等の各部署が、それぞれ様々な企業との接点を持ち、そこから随時入ってくる求人の情報をキャリアセンターが集約しています」。「学ぶと働くをつなぐ」観点での成果として、卒業率の上※経済産業省令和4年度大学発ベンチャー実態等調査(松村直樹/リアセックキャリア総合研究所)カリキュラムフロー昇、新卒の内定獲得数増加等に加え、大学発ベンチャーも順調に増えている。2022年度の関連ベンチャー数は104で、全国の大学で13位※。これも「夢中になり、自分に目覚める」シナリオの成果だ。「自分に目覚めた結果として、起業に至る人たちがそれだけ多いのです」(池谷氏)。これらの成果は、ビジョンの1番「デジタルコミュニケーションを駆使し、人間らしく、自分らしく未来を生き抜く人が育つ学校になる」が実現しつつあると捉えられる。一方、ビジョンの2番「あらゆる境界を越えて最前線の実務家と研究者が集い、未来生活をリデザインする機関になる」が今後の課題と池谷氏は言う。「もともと、マサチューセッツ工科大学をモデルとする『メディアラボ構想』からできた大学です。博士論文指導ができるアカデミックな先生と、産業界で先端的なテクノロジーを駆使する先生が両方いて、社会人の院生もいれば学部生もいて、研究テーマごとに企業がスポンサーとしてつき、成果を社会に還元するところまでいって、構想の完成です」。これからの方向性は、ミッション「テクノロジーカルチャーの界面を無限に拡張し、自由に愛する文化を創造し続ける」に集約されている。「テクノロジーカルチャーの領域に関しての、教員のアサイン、カリキュラムの科目配置、学生に対する機会の提供等を通じて、デジタルハリウッドのあるべき姿に少しでも近づいていきたいと思います」(池谷氏)。スタートアップ初年次教育専門教育国際教育教養教育実践教育アクティブラーニング基礎ツール外国語(必修)演習(基礎)講義(基礎)外国語(選択必修)企業ゼミ、インターンシップ、PBL、特別講義等基礎フェーズ1年次2年次応用フェーズ3年次演習(応用)講義(応用)演習(基礎)講義(基礎)外国語(選択)協定校留学教養ゼミ・卒業制作4年次ゼミ・卒業制作

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