カレッジマネジメント241号
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10言葉を尽くして生徒の挑戦精神を引き出すうした生徒達が大人になって成長した後、再び地元に戻る可能性は十分にあると思います。高校教員はどうしても、受験をゴールにして、そこから逆算して「今こういうことをやったほうがいいのではないか」という思考になりやすい。私は生徒が夢中になる経験として「探究」のポテンシャルは非常に高いと思っていますが、そうしたなかでいかに「逆算しない社会の大人」に出会えるかは大切だと思っています。受験に関する利害関係者でないからこそ、フラットに生徒に向き合ってくれる、そういう存在は生徒が自分の人生を選ぶうえでとても大切です。――探究によって社会に開かれた教育が展開されると、自分を起点にした生徒の挑戦心やキャリア観が育まれていく。そうした正の循環が正しく回ることが大切である一方で、これまでの話にあったように、探究という挑戦をためらう生徒もたくさんいると思います。彼らに対してはどのように指導していくのでしょうか。千葉 私達は、言葉で人を動かす仕事をしています。生徒達の状況や性格に応じて、「~のように考えたらどう?」「こういう先輩がいたけど、参考になるかしら」「~を体験すると、こ●舟越 裕 氏 長崎県立松浦高校 校長長崎県立佐世保北中学校・高等学校で進路指導を担当した後、長崎県教育委員会勤務、長崎県立佐世保西高校教頭を経て、2022年より現職ういう意味で成長できると思うよ」といった言葉をタイミング良く使い分けたいですね。進路指導とは、相手にとって適切な言葉を選んで生徒の背中を押す仕事です。相場観や一般論に照らしてではなく、目の前の生徒に適切な言葉を探すのが進路指導の仕事です。土方 学力はさほどではないし、目的意識も薄い。保護者の意識も高くないという生徒は少なからずいます。私達は彼らの視野を広げるため、進路検討会等の場を利用し教員同士で意見を出し合いながら、色々な提案法を検討しています。また、探究学習を通じて生徒の考えをまとめさせ、実行させる試みについても、もっと力を入れたい。それによって、自信や前に進む力を身につけさせることは、教員にとって非常に大切な仕事だと思うのです。舟越 そうですね。そのためには、教員のスキルをどうやって高めているかということも大事だと思います。私が普段からご指導頂いている先輩方は、そのあたりの引き出しがとても豊富な方が多い。私達もそれに触発されて、色々な知見を調べては、生徒達に還元しているところです。今は教員にも働き方改革が求められ、私達は「できるだけ早く帰って下さい」と言わなければならない立場です。そうした中、上手にバランスを取りながら、教育のシステム化や教員のスキルアップを実現していかなければなりませんね。(編集/鹿島 梓、 文/白谷輝英)

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