カレッジマネジメント241号
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23大学キャンパス所在地への“愛着”はいかに知人ができた」「働くのであれば、大学時代に知り合った人の近くだと安心」等が見られる。入学当初は出身地域に戻ることを考えていたが、活動を通して地域内で就職先を決め留まることを選択した学生もいる。一方働きたくない理由は、「地元に戻るつもりだった」「地元に戻って貢献したい」「生活しにくい」「地域に愛着がない」等である。中には働きたくないということではなく、「奨学金返済のため、一人暮らしは難しいので実家へ戻る」といった経済的理由を挙げる学生も一定数いるのである。学生における地域への就職意向として、愛着があるからという理由があることをお伝えしたが、就職意向と愛着度との関係性はどのようなのか見ていきたい。大学キャンパス所在地への愛着はどうであろうか。11ブロックの地域別を総じて見てみる。キャンパス所在地と同地域出身者と地域以外出身者とを見ると、同地域出身者の方が、比較的愛着がある様子がうかがえるのだが、愛着がある・なしの理由を見ておこう。地域内出身者の愛着ある・なしの理由を見ると、愛着がある理由は「生まれ育った場所で馴染みがある」「見慣れた風景がある」「よく知っている場所」「楽しい思い出の場所」等である。一方愛着がない理由は、「あまり地域内で交流がない」「思い出があまりない」「長年住んでいない」等で、同一地域内でも県を越えて通学している学生からは「大学へ行くくらいで、あまり知らない」といったものも見られる。中には、コロナ禍で外出に制限があったことで、知る機会がなかったといったものも見受けられる。地域以外出身者で愛着がある理由としては、「人柄が優しい」「自然が多い」「思い出が多く第二の故郷」「大学4年間で馴染みが出てきた」等である。一方愛着がない理由は、「生活して慣れ親しんだが地元ほどではない」「大学周辺しか知らない」「4年しかいないから」等で、中には、コロナ禍の影響と思われるが、「キャンパス所在地域には住んでいなかったから」といった理由も見られる。ちなみに、家族の転勤事情等によりあまり馴染みがないことで、愛着がなかったりどちらともいえなかったりといった声も散見される。愛着があると、その地域に長くいたいという意向が見えてくるが、就職意向と愛着には関係性がありそうだ。というのも、キャンパス所在地域出身者および地域以外出身者で共通していることは、その地域へ愛着があるとないよりも比較的就職意向が高い傾向が見られるからだ。愛着と地域との関係性を見るに、地域への愛着が高くなると、就職先地域の候補となり得るとも言えるのではないかと思われる。愛着があることは、その地域に留まる一要素ではあると思うが、学生にとって希望する就職先があるかどうかも重要で、留まりたい気持ちはあるが、希望する就職先がないとその地域から出ることを選択するのだろう。大学キャンパス所在地域への就職意向が分岐するものを整理しておきたい。地域内への就職意向が高まるのは、自分が働きたいと思う就職先があるかどうか、今後の選択肢の幅の広さ、収入面、生活面が良くなること、その地域のことを知っていることも重要な項目ではないかと思われる。家族からの独り立ち等を含めて、本当は他の地域で働きたいと思っているものの、経済的な理由から留まることを選択している学生もおり、このことから考えると、経済面を支援等することで、意向が変わる可能性もあろう(地方公共団体の中には、奨学金返還支援に取り組んでいるところもある)。これらのことが、分岐する観点ではないかと思われる。(1) キャンパス所在地域内または地域以外出身者での 愛着のある・なしの理由について(2) 就職意向と愛着度との関係性(3) 地域内への就職意向のあり・なしを 分岐するものは特集1若者はなぜ移動するのか

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