カレッジマネジメント241号
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26Z世代の価値観を形成する「SNSネイティブ」見通しのつかない時代。切迫する「らしさ」判断基準が未成熟な高校生を動かす「エモ」Interview視点提供インタビューZ世代といえば、「自分らしさが大切」「タイパを重視する」などと喧伝される。これら特徴はどうやって形成されるのか。大きく影響を与えるのが、「Z世代がSNSネイティブであること」と話すのは、僕と私と株式会社代表で、自らもZ世代の今瀧健登氏だ。「学生時代からXやInstagramが普及しており、コミュニケーションや情報収集に使うことが当たり前。もともとは同じ考え方であっても、膨大な情報に接する中で誘発されて分岐していくため、Z世代の価値観は実に多様です。というのも、今やSNSがなかった時代には出会うことのなかった世界中の他人の情報を知れてしまう。若者は、常に自分と他人とを比較する環境にあるため、『自分らしさ』を見つけなくてはいけない、大事にしたい、と思う傾向にあります」。自分らしさを重視するのはZ世代が生きる社会にも起因する。人生100年時代と言われて久しい。働く期間が長期化する一方で、サービスや企業の寿命は短くなる。Z世代が生きるのはまだ誰も経験したことのない社会だ。「時代の見通しがつかないうえに、ロールモデルもおらず、どこにも正解がない。だからこそ自分なりの正解を見つけなくてはなりません。華やかな都会に暮らす幸せもあれば、自然豊かな地域で家賃4万円の生活という幸せもある。多様な幸せのあり方を知っているZ世代は、何かを選択する際の、自分らしい判断軸が必要なのです」(今瀧氏)。一方、高校生が進路選択時に「自分らしさ」をどれだけ反映できているかといえば懐疑的だと今瀧氏。「就活を経験したZ世代であれば、終身雇用が崩壊した未来の社会で生き残るために、個の力が必要だ、という危機感はあるでしょう。他方、高校生にとって社会は遠い存在。何が必要なのか見極められるほどの判断材料も軸も持っていない。SNSでの情報や、義務教育を通して、未来の社会に対する漠然とした不安は抱いているものの、『個の力を高めるために○○を学びたい』というバックキャスト的な考えや、『自分らしい選択』にまで至っていないのでは」。判断基準が未成熟ゆえに、「偏差値といった序列や、知名度のような一般的な指標、『ICT』『アントレプレナーシップ』といった目新しいものに影響されやすい。また、仲が良く一番身近な社会人である親の影響も大きい」と今瀧氏は指摘する。しかし未熟なりに、自分らしい選択をしようとする高校生にとって、どんな情報が有益なのか。「遠い存在の社会人の姿や言葉よりも、その手前にいる大学生が、大学で楽しそうに過ごしている様子や、どんな雰囲気なのかといった、感性に訴える情報にリアリティを覚える。自分に合っていそうといった親近感や興味が湧いて、『エモ』が生まれます。『エモ』とはハッピーな共感。Z世代が共感し、自分ゴト化できる情報提供こそが、行動変容を促せるのではないでしょうか」(今瀧氏)。僕と私と株式会社今瀧健登 氏#「移動」に至るZ世代の価値観 若者の生態を知る

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