45注)筆者が部分的に加工したところがある。では学習成果が出ているのか、それは内部質保証体制によって裏付けられているのかが求められることになった。これは、外部からの強制ではなく、大学が構築した体制や取り組みが有効であることについての大学自身の説明責任がより大きくなることを意味している。では大学はどのように対応していけばよいのだろうか。内部質保証の「全学的な新体制」や学修成果把握のための「全学一斉」の取り組み等は、外向きには説明しやすい。しかし、現場の教職員の声がどれだけ反映されているのだろうか。まず、第3期の認証評価で半ば強制的に求められた内部質保証の体制に関し、そこに費やされた労力と有効性について今一度振り返ることが必要であろう。第4期に新しく評価項目に加えられた学修成果の把握・評価については、授業科目ごとのルーブリックや各種アンケート、大学が明示した身につけるべき資質・能力と実際の成績の関連づけなど、これまでも様々な試みがなされてきた。しかし、これらの取り組みが実施のみに終わってその有効性について確認にまで至っていないことも多い。学位授与方針を軸とした成績評価のグラフ化に終始したり、回収率が高いとは言えない学生アンケートに頼るだけではなく、学生の意見を直接取り入れる仕組みを作ることも極めて有効と考える。コロナ禍を経て、授業内容・方法、成績のあり方について見つめなおしている学生も少なくないからだ。そうした個々の努力が、大学が掲げる理念・目的や教育方針の実現に向けて着実に歩みを進めることにつながっているのか確認し、まずは学内に説明できることが肝要だ。大学基準協会・大学と産学連携事業を締結している企業との間で、三つのポリシーと大学の教育活動の関連について意見交換をする機会を設定し、日本高等教育評価機構・従来からの内部質保証システムに加え、学生・教職員から意見聴取して、大学が重点的に取り組むべき課題を「指定課題」として取り上げている。内部質保証組織が各組織の「自己点検・評価レポート」に対して複数回フィードバックを行い、自己点検・評価の実質化を図っている。外部評価委員会による未来志向型の評価を行っている。内部質保証の取組みを充実させている。最後に、今次の大学設置基準改正に合わせて制定された教育課程等に係る特例制度について触れておこう。大学等による先導的・先進的な取り組みの促進を目的として新設された制度であり、それ自体は推奨されるべきものであろう。ここで注目したいのが、申請する前提として、内部質保証の体制が十分機能していることを求めている点である。特例制度の運用にあたり、内部質保証体制が機能しているという判断を、誰がどのように行うのかについては、公表資料からは明らかではない。その判断基準がいつ明らかにされるのかを注視するとともに、それが明らかになった時点で、形式的な対応が大学の間に流布しないことを祈るばかりである。なお、中央教育審議会大学分科会質保証システム部会による審議まとめ「新たな時代を見据えた質保証システムの改善・充実について」(2022年3月)では、認証評価機関の多様性への配慮という記述がある。内部質保証が日本の大学の質の根幹をなすのであれば、認証評価機関には、最低限の評価の質を揃える努力を望みたいし、認証評価受審大学からの申請に対して評価を行うだけでなく、内部質保証やその重要な要素となる学修成果の把握・評価について、日本の高等教育機関全体の質保証という観点から、各認証評価機関を通じて一定の見解の統一をしてほしい。シンポジウムを開催するだけでなく、また、型にはまった指導をするのではなく、大学が自ら考え、選択できるような多様な資料を積極的に提示する等、大学への支援活動をぜひ期待したい。表2 2023年度認証評価受審大学で内部質保証が機能していると評価された例特集2認証評価 第4期の重要ポイント
元のページ ../index.html#45