カレッジマネジメント241号
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50評価機能のトレードオフ3つの基準の役割分担評価の機能の現実Contribution寄稿本センターが認証評価事業を開始したのは、認証評価制度が第3期の半ばにあった2020年度からであり、次のサイクルに向けた評価基準等の見直しは少し先のこととなる。そこで本稿では、受審大学との間で本センターの評価への理解をさらに深化させるという観点で、第4期のポイントを示したい。一言でいえば、受審大学と共に「大学の改善を支援する評価の可能性を探る」となる。本センターは後発の評価機関として、評価基準を定める際に独特の工夫を行なった。基準を評価事項別に列挙する前に、表の上半分に示したように、評価の目的に即して大枠で3つの基準に整理したのである。そしてそれぞれの基準に、適合を「判別」する役割と大学に「改善を促す」役割を分担させることにした。これは評価一般にいえることだが、「改善を促す」ことと適合を「判別」することを、同時に達成することは難しい。なぜならば、「改善を促す」ためには、評価を受ける側から自身が有する弱点についても積極的に示し、その原因や改革を阻む要因について評価する側と議論を尽くす必要がある。しかし、「判別」で良い結果を得ようとすれば、弱点を含む情報は当然出しにくくなる。こうしたトレードオフがある限り、評価が改善に資する効果は限定的にならざるを得ない。さらに本センターは当初、「改善を促す」には、それを「支援」する視点も必要と考えていた。しかしながら、このような方針は認証評価機関の認証審査において歓迎されず、実施大綱等から「支援」に類する文言を削除せざるを得なかった。そこで、さしあたり3つの評価基準に「判別」と「改善」という役割を分担させるという工夫をもって、新たな評価をスタートしたのである。表に整理した通り、判別のための評価は「基準1 法令適合性の保証」で行う。本センターが受審大学に対して提出を求める統一様式〈点検・評価ポートフォリオ〉には、基準1に関しては、いわゆる「細目省令」※に認証評価の要件として示されていた10の評価事項、それぞれについて記入欄を設けている。そこに「大学が順守すべき法令」の条文と対応させながら、大学が行った自己点検・評価の公表情報をリンクさせる。法令内容に即した情報公表を徹底することで、評価が大学セクターの身内の自主規制に過ぎないと解されることを避けたのである。一方、大学セクターの自律性に基づく「改善を促す評価」は「基準2 教育研究の水準の向上」、「基準3 特色ある教育研究の進展」で行う。大学は〈点検・評価ポートフォリオ〉に、両基準に関わるそれぞれ5つ以内の取り組みを示し、それに先立って取り組み相互の関係性やそれを支える全学的な方針等を明示する。そのことにより、大学がどのような状況認識に基づき改革の方針を定め、各種モニタリング結果をどのように関連付けながら改善に生かしているのかが明らかになる。こうした工夫によって、大学の改善をはかる評価が実現一般財団法人大学教育質保証・評価センター事務局長中田 晃大学教育質保証・評価センター大学の改善を支援する評価の可能性を探る大学教育質保証・評価センター第4期の重要ポイント

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