カレッジマネジメント241号
54/79

54豊田工業大学 学長豊田工業大学は、愛知県名古屋市に所在し、工学部1学部、大学院、学生数500人を擁する小規模大学です。1981年にトヨタ自動車の社会貢献活動の一環として設立されました。トヨタ自動車の創業者である豊田喜一郎は、発明で社会に尽くした父、佐吉翁の精神を受け継ぎ、当時困難とされた自動車の国産化に挑戦しました。海外の技術を参考にしながら若手技術者の育成が不可欠だと考え、創業時既に「社業繁栄の暁には大学を設立したい」と語っていたと聞いています。そしてついに豊田英二の代で、わが国初の社会人大学が開学することになります。建学の精神「研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし」は佐吉翁の遺訓です。私達はこの言葉にこそ、モノづくりの原点ともいえる工学を志す者に必要な心構えがあると考えています。本学の特徴は、トヨタ自動車が実践的な技術者・研究者の育成を目的に作った大学であり、実学、実践力を最重要視してきた点です。充実した実験・実習科目をはじめ、開学時からインターンシップを全学必修とし、実習先企業は約40社に上ります。学生は1年次に企業の製造ライン部門、3年次に研究開発部門に1〜1.5カ月赴き実習と研究に取り組むことで、実践という言葉が学生のマインドに強く根づく仕組みができています。また本学は学部1年生の入学定員が100人と小規模ですが、トヨタ自動車からの支援のもとで運営可能な規模ということで、設立時からあえて小規模に設計されました。授業料は国公立大学並みの年額60万円、入学金等を合わせた初年度納付金は98万円に抑え、学生の経済負担を減らしています。小規模だからこその少人数教育も特徴で、ST比(専任教員1人当たりの学生数)は約10人と国立大学並み、学生1人当たりの大学支出額は655万円/年(2022年度実績)とわが国トップクラスの環境を整備しています。工学部でも英語力を重視して海外研修を支援し、学部生の43%、大学院修士課程生の33%が海外研修に参加しました(コロナ禍前の2019年度実績)。こうした特徴的な学びで実践力を身につけ、2023年度の就職決定率(就職者/就職希望者)は100%となっています。さらに開学から学部1年次で全寮制をとってきたのも特徴です(コロナ禍で2021年以降は希望入寮)。8人のユニットの中には先輩と社会人学生が含まれ、寮を先輩後輩、社会人と交流する教育プログラムの場としています。地元志向の強いこの地域において、県外出身者が4割程度と多いのも、寮や学費の安さが関係しているでしょう。2021年は開学40周年という節目の年を迎え、2020年にキャンパスを完全リニューアルしました。本学にとっては大事な2年間でしたが、コロナ禍の最中で式典も抑え気味で、卒論・修論・博論生以外の学生は、2020年11月まではキャンパスに入ることができませんでした。トヨタ自動車が工学人材育成を目指し開学国公立大並みの学費と教育環境で実践力育成「覚えるより理解する」を唱えた学長講話保立和夫氏充実した教育・研究環境を備え、学理と実践で工学を極める「小粒でもピリ辛い」大学へ

元のページ  ../index.html#54

このブックを見る