59理系人材の育成に向けた施策新たな枠組みの創出課題はSSH事業の高大接続100万人当たりの博士号取得者数についての日本の遅れがある。米国や韓国は2000年度には日本と同程度であったが、現在では日本の倍以上の値となっている。即ち日本は、初等中等教育段階では国際的にもトップレベルの理数系分野のリテラシーを維持しているものの、意欲・関心等の学習面の動機付けが不十分であること等も影響し、高等教育段階の理数系人材育成につなげることができていない。こうしたことから、特に後期中等教育から高等教育段階における理数系の教育を、社会の趨勢に合わせてより発展・充実させていくことが求められている。上記の課題を踏まえ、文部科学省においては、デジタル・グリーン等の成長分野をけん引する高度専門人材の育成に向けて、意欲ある大学・高専が成長分野への学部転換等の改革を行う際の支援基金を創設し、大学の学部再編等、高度情報専門人材の確保を促進している。そして、大学教育段階で、デジタル・理数分野への学部転換が進む中、高等学校段階におけるデジタル等成長分野を支える人材育成の抜本的強化に向けて、令和5年度補正予算により、高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)をスタートさせる。本事業は、情報、数学等の教育を重視するカリキュラムを実施するとともに、ICTを活用した文理横断的・探究的な学びを強化する高等学校等に対して、そのために必要な環境整備の経費を、1000万円を上限に、高等学校全体の約2割に当たる1000校程度を対象に支援を行うものである。(なお、DXハイスクールとSSHは、SSH事業が将来のイノベーションの創出を担い、国際的に活躍し得るトップレベルの科学技術人材を育成することを目的とし、理数系教育に係る先行研究を高等学校全体の約5%を対象に実施するものであるため、目的と対象が異なることに留意が必要である)。現在各方面から、SSH校と他校との交流機会、取組や成果の共有等、国や管理機関による支援の充実が求められて※1 https://www.jst.go.jp/cpse/ssh/ssh/public/pdf/alumnipamphlet.pdfいるところであり、上記で述べた現在の科学技術人材育成をめぐる状況に対応するため、近年、以下に挙げる新たな枠組みを創設する等して改善を図ってきている。・ 卓越した研究開発を実施することで科学技術人材育成システムを先導する「先導的改革型」を、Ⅳ期以降の枠組みとして令和2年度より創設。・ 科学技術人材育成の全国的なモデルとしてこれまでの研究開発の成果を基にした多様な実践活動の展開・普及を図る「認定枠」を、令和4年度より創設(基礎枠としての財政支援は行われない)。・ 社会の諸課題に対応するため、自然科学の「知」と人文・社会科学の「知」との融合による「総合知」を創出・活用した先進的な理数系教育に関する研究開発を実施し、将来のイノベーションの創出を担う科学技術人材の育成を目指す「文理融合基礎枠」を、令和6年度より創設。長年継続しているSSHの課題の一つとして、3年次の研究活動が大学受験のために縮小モードになるということがある。近年、SSH指定校における研究活動の成果や学業成績等を基にした入学者選抜を行う大学も増えてきているが、こうした特色ある入学者選抜を行う大学が増えていくことを強く期待する。そのためには、SSH校やその管理機関が積極的に高等教育機関側にアプローチを行い、人材育成の理念を説明していくこと、協力を依頼することが必要であることは言うまでもないが、高等教育機関にも、SSH指定校に入学し主体的に先端的な科学研究を経験している生徒が、円滑に大学等における教育・研究活動にシフトしていけるよう、高大接続の取組をぜひ、教育委員会や高校と手を取りながら進めて頂きたい。SSHを経験した高校生は、イノベーションによりわが国の未来を切り拓く人材となる。文部科学省としては、その人材育成をこれからも引き続き、全国の高等学校及び高等教育機関と共に推進していきたい。
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