●舟越 裕氏●千葉栄美氏●土方清裕氏6進学校ですら「地元進学」の流れが加速中コロナ禍等の社会不安が挑戦の妨げにRoundtable座談会※は座談会当時の所属・肩書新潟県立津南中等教育学校※三重県立津東高校 校長青森県立田名部高校 校長※青森県立大湊高校 校長土方 三重県でも、自宅から通える大学を目指す生徒が多いです。また、舟越先生ご指摘のように、優秀な生徒が首都圏の名門大学ではなく、地元の医学部を目指すケースも増えましたね。私が津高校の進路指導主事だった十数年前も、高い学力があるのに近隣の大学で「手を打つ」子ども達は一定数いて、視野を広げさせる指導をしていたものです。今は当時よりもっと、生徒も保護者も内向きな考え方になっています。――卒業後も地元に残る生徒が増えたのはなぜだとお考えですか。千葉 要因は3つあると思います。まず1つ目は、都会に出る必要性が薄れたことです。一昔前、青森の若者には「渇望感」がありました。何もない田舎を出て都会に行こうという気持ちが、若者を突き動かしていたのだと思います。でも、今は通販で商品を買えば数日中に届く時代ですから、若者は「別に都会に行かなくても十分」と考えているのかもしれま長崎県立松浦高校 校長(ファシリテーター)キャリアガイダンス編集部江森 真矢子(岡山県立和気閑谷高校カリキュラム開発・編集者)高校進路指導の現場では、現在生徒の移動に関してどのような傾向や変化があるのか。進路指導に携わった後校長まで務めたキャリアを持つ3人の先生方に、オンライン座談会形式でお話を伺った。――皆さまは教員として長いキャリアをお持ちですが、その中で、都会に出る生徒と地元に残る生徒との割合はどう変わってきましたか。千葉 私が教員になった1989年当時、高校を卒業した生徒達のほとんどが、進学・就職で首都圏に出ていきました。ところが今は、多くの人が地元に残ります。青森県は就職先が多くない、若者には不利な地域なのですが、それでも県外に出る割合は小さくなりました。舟越 長崎県でも地元志向が強まっていると感じます。以前は、卒業後の進路が多様な高校では長崎県内、遠くても九州内での進学を目指す生徒が多く、進学校の一部では首都圏、特に東京志向の生徒が目立つ傾向もありました。ところが最近では、どの進学校の生徒も地元での進学を目指すパターンが増えていると感じています。その一環で、「東大より地元大の医学部」という流れも強まっています。若者の挑戦マインドを喚起し可能性を広げる教育を、高校も大学も
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