掲げたビジョンとのギャップをいかに解消するか。リサーチを元にトップが明確に戦略を策定「愚痴聞くだけでもあるべき姿」キャリアに悩んだら最初に相談する場所へMUKOnoa+が開設された西宮北口キャンパスセンターのサービスを知らせる卒業生へのメールマガジンは常に高い購読率・遷移数を実現64リクルート カレッジマネジメント241 │ Jul. - Sep. 2024社会人マーケットの開拓を目指す取り組みに「定石」はない。そこでこの連載では、「兆し」となりうる先駆的な取り組みをレポートしていく。 「2019年、学校法人武庫川学院は創立80周年を機に、『一生を描ききる女性力を』というビジョンを掲げました。入学前から卒業後の社会参画までを一体的に捉え、学生の生涯に寄り添うことを目指そう、と。しかし現状、20万人を超える卒業生に向けてのサポートは十分にできていない。では何をすべきなのか。そこから本格的な検討がはじまりました」 そう語るのはリカレント教育センターのセンター長、高橋千枝子氏。2020年に女子大で初めて設置(当時)された経営学部の創設に準備段階から携わり、開設と同時に教授に就任した高橋氏は、シンクタンク等で長くマーケティングリサーチや事業戦略策定を担ってきた実務家教員である。 「理事長、学長、副学長といったトップから方針が示され、予算と時間と人とをかけ、卒業生のアンケート、企業のニーズ調査、そして先行大学へのヒアリングと、着実にリサーチを進めていきました。そうして、まず卒業生の利用にフォーカスし、あえて『女性リーダー育成』は外し『IT・DX』と『キャリア支援』の二本柱で腹を決めてやっていく、という差別化戦略を策定したのです」(高橋氏) センターの開設にあたっては、『資格とキャリアのスクールnoa』を運営する株式会社ワークアカデミー、りそな銀行との三者協定を締結。株式会社ワークアカデミーが講座の提供とキャリア相談を担い、りそな銀行が求人企業を紹介する。 「専任教員を中心とした学内リソースだけでは限界があるため、将来にわたってセンターを安定的に運営していけるよう、外部との協働を選択しました。センター名に『noa』とはっきり入っているのは、業務委託ではなく、パートナーとして対等の立場でやっていくことを示しています」(高橋氏) 開設から1年が経過し、利用者数は順調に拡大している。「まずは卒業生の支援に注力しよう、と。そこで、同窓会で説明してもらったり、卒業生を対象としたメールマガジンや同窓会報で告知したり、各学科の先生方がいちばん卒業生とつながっていらっしゃいますから、グループラインに流してもらったり…しつこくしつこく本当一つずつ。それで少しずつ卒業生の認知度が高まり、コンスタントにキャリアカウンセリングの申し込みが入ってくるようになりました」(高橋氏) キャリアカウンセリングは対面・オンラインいずれも可能なため、東京からのUターン希望者も。ニーズに応じてリスキリング講座の受講や転職・再就職の提案を行っているが、武庫川女子大学リカレント教育センター センター長経営学部 教授高橋千枝子 氏 リカレント教育センター MUKOnoa+武庫川女子大学 ビジョン策定を起点に、運営・募集まで首尾一貫。開設1年、「リカレント教育センター」は今や入試説明会のアピールポイントにシリーズ リカレント教育最前線 ⑦
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