カレッジマネジメント241号
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67非日常との出会い楽しむ力を育てる科目群出会いの対象発見・創造する科目群出会いの実現人と未知の世界をつなぐ科目群自由を共に楽しむ力社会を共に生きぬく力楽しむ力の評価方法とその社会への浸透が課題なくて教員も楽しんで取り組んでいるか、アンケート調査などで継続的に確認しているという。学生のうち、中国、ベトナムなど10カ国ほどからの外国人留学生が約7割を占める。大阪観光大学にどういう期待を持って海外から入学してくるのだろうか。「観光というのは世界最大のサービス業ですから、日本に限らず世界中においてニーズは高く、観光学にも興味を持ってもらえています。ただ、学生募集において、一般的な興味を本学への進学という形に具体化することには少しハードルがあります」。そこで前面に出すのが日本文化だ。アニメをはじめ日本文化全般への関心は高い。それを楽しみながら、グローバルな環境で勉強ができる。まさに「学びを楽しめ」ということだ。また、海外からの学生への入学の動機づけにあたり、母国語と日本語の両方で対応できる職員をおいて、個別の働きかけを綿密にしている。「関心を持ってくれた学生と個別にコミュニケーションをとり、だんだん期待値を高めていくのが基本です」。この取り組みが、収容定員充足率100%以上という成果につながっている。日本人学生については、「高校までの“勉強”で成績が上がらなくても、実は非常にいい感性を持っている学生は必ずいる」と山田学長は言い、「在学中に大きく成長し、人が変わったように自信をつけて卒業していく例もあり、日本における従来型のエリート路線に必ずしも適合しない人達も来てほしい」と続けた。留学生の卒業後の進路の希望は、日本での就職が一番多い。大学としても卒業生が日本で活躍してくれることは望ましいので、そういう動機づけや日本企業に就職するための個別指導もサポートしているという。「幸い観光産業というのは非常に裾野が広く、選択肢は必ずしも狭い意味の観光業だけではありません。一人ひとりの問題関心を特定の企業なり地域に結びつけるように、小さい大学ならではの個別対応を頑張っています」。全学的な改革から2年を経ての成果としては、教職員の意識改革は進みつつあり、楽しさを感じる学生も増えているという。楽しむ力を涵養することの効果は卒業生の輩出を待たねばならないなど、道半ばではあるが、いい方向に向かっていると山田学長は感じている。課題としては、「楽しむ力」の測定方法が挙がった。「例えば楽しむ力を評価軸として成績判定をどうするのか。教育課程上、もっと詰めるべき点です」。今後の戦略的課題の一つは、観光学の体系を海外へ発信すること、もう一つは「楽しむ力」をもっと社会的に浸透させ、本学の理念をブランド化することだとしている。さらに、「観光をやっていれば楽しい」というレベルで終わらせるのではなく、日本の教育論そのものに対する問題提起のためのプロジェクトも発足させた。「観光学教育ということにとどまらず、大学の専門教育の評価基軸自体を見直す。我々なりの観点からこれまでの教育論をサーベイしていけば、従来の偏差値教育に対抗する概念を打ち出せる可能性があると考えています」。(文/松村直樹 リアセックキャリア総合研究所)↑(自由時間)↓(労働時間)これからの観光とサービス社会を担う職業人公務員、NPO/NGO、職員、企業経営者、知識・サービス労働者等大阪観光大学で学ぶ「観光学」観光は世界最大のサービス業、就職の裾野は広い余暇・観光を高度に楽しむことのできる教養豊かな世界市民

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