カレッジマネジメント241号
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tnemeganaM ytisrevi IgnitavonnnU本連載では2015年と2018年の2度にわたり、ダイバーシティを取り上げた。1回目(本誌No.195)では、女性活躍推進法による行動計画策定の義務づけを受けて、国の政策動向や日本の現状を概説したうえで、多様性の尊重こそイノベーションの源泉であり、グローバル化に向けて必須の要件でもあり、トップの強い信念に基づく組織的・戦略的展開が不可欠であると述べた。2回目(本誌No.208)では、第3期科学技術基本計画(2006〜2010年度)において、女性研究者の採用目標が初めて数値で示されたことを受けて推進されている女性研究者研究活動支援事業(現「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ」)を取りあげ、その活動を紹介するとともに、成果と課題について考えた。この間、わが国における女性活躍推進やその基盤ともなる働き方改革の機運は高まり、一定の成果が出つつあることは後掲の諸指標からも見てとれる。他方で、2023年6月に世界経済フォーラムが公表したジェンダーギャップ指数において日本は世界146カ国中125位と過去最低を記録するなど、国際的に大きく後れをとっている。ハーバード大学ライシャワー日本研究所所長のメアリー•C•ブリントン教授はその著書で、「日本の出生率が一向に上がらず、結婚する人の割合が低く、多くの日本人が職業生活と家庭生活で満足感を味わえずに漠然とした不安をいだいている状況は、男女の役割に関する硬直的な社会規範が原リクルート カレッジマネジメント241 │Jul. - Sep. 2024学校法人東京家政学院理事長・筑波大学名誉教授68因」と指摘する。国連高等弁務官を務めた緒方貞子氏もその回顧録において、「このままでは、日本は国際社会の中で今の位置に留まることすらできないと思います。日本はまず足元を固めることから始めなくてはなりません。そのために何が必要かといえば、それは多様性、英語で言えばダイバーシティ(diversity)だと思うのです」と述べている。多様性を尊重する社会や組織をどう築き上げるかが、わが国の現在そして未来にとって最重要な課題であることは明らかである。本稿では、ジェンダーギャップ解消の視点から、各種指標を通して現在地を確認した後に、望ましい方向に向かいつつも、その足取りが重く、根本的な問題が解消されない背景を探り、多様性尊重の社会・組織を実現するための課題を検討する。そのうえで、これらの課題に高等教育がどう関わるかについて、大学におけるジェンダーギャップ解消の取り組みの現状評価を踏まえつつ考えたい。前出のジェンダーギャップ指数(GGI)は、経済参画、教育、健康、政治参画の4つの分野のデータで作成され、完全不平等を0、完全平等を1として総合スコアを算出している。2023年の日本の総合スコアは0.647であるが、教育0.997(47位)、健康0.973(59位)に対して、経済参画0.561(123位)、政治参画0.057(138位)と、経済と政治の102吉武博通大学を強くする「大学経営改革」 過去最低を記録したジェンダーギャップ指数大きく後れをとる政治参画と経済参画多様性尊重の社会・組織の実現に向けて〜ジェンダーギャップ解消の視点から〜

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